首都圏のマイナー路線「鶴見線」その今と歴史をたどった!

今回の記事は、神奈川県にあるマイナーローカル線のお話です。その路線は「鶴見線」という路線。おそらく神奈川県民の中でも地元民や職場がその辺りの方でなければあまり乗ったことがないだろうこの路線。
しかし、鶴見線は首都圏の工業地帯の発展に大きく関わる路線でもあるのです。そんな鶴見線に関して、今回記事を書くにあたり乗りまくってきたので歴史なりなんなりを紹介していきたいと思います。

鶴見線とはどんな路線か?

まずは「鶴見線ってどんな路線なんすか?」と思う方が多いと思うので、簡単な概要から紹介していきたいと思います。

鶴見線はどこを走っているのか?

鶴見線

鶴見線がどこを走っているのかというと、横浜市と川崎市の東京湾沿いを走っています。鶴見駅から東京湾の海岸沿いを走る形になります。観光地といえる場所はなく、ひたすら工場地帯を駆け抜ける形になります。

鶴見線

その鶴見線の路線図はこんな感じです。駅は13個とやたらに少なく、また1つの駅間も短いので、歩くと10分ちょいで行けてしまうほどです。路線図を見てもわかる通り、路線は3つに分岐しており、鶴見駅からも3つの方面に行く電車が都度運行されています。
ただ、その中でも大川駅行きは数が少ないのです。平日は9本、土曜・休日は3本しか運行しないというレアぶり!また、駅名というとその土地に由来する名前が多いですが、以下で記載している通り鶴見線はそのような駅はほとんどありません。
鶴見線の操業に関わった人名や、駅付近にある企業名が使われていたりするのです。

昼の本数が少ない

鶴見線

こちらは、鶴見駅にある鶴見線の時刻表。これをみると、やはり通勤・帰宅時間帯の本数は多くひるまのほんすうがすくないことがわかります。昼間は、2,30分に1本になっているものの、通勤・帰宅時間帯は思った以上に多かったというのが正直な感想。

鶴見駅以外は無人駅

鶴見線

鶴見線の駅は、鶴見駅以外は無人駅になります。ということなので、駅には1台の券売機と、上の写真のようなICカード読み取り機が置いてあるのみ。つまり、鶴見駅以外は勝手に入って勝手に降りることもできるという状態。
そう、鶴見線は信用によって成り立っているようです。鶴見線の駅が無人になったのは1971年からなのだとか。それ以前は、有人だったようですよ!

鶴見線

唯一自動改札がある鶴見駅。他の駅には一つもないが、ここには7つの自動改札機が姿を現します。と、ここである疑問が!

鶴見線

実は鶴見駅から鶴見線を乗り降りする場合は、改札を2回通る必要があるのです!何で、1回ではなく2回通る必要があるのかというと、不正乗車を防ぐためだという。
ICカードだと乗車記録や降車記録が残るので不正乗車はできませんが、切符をどこかの駅で買って鶴見線の無人駅で降りた場合は、誰にも気づかれず不正乗車が成り立ってしまうわけです。そんなこともあり、わざわざここに改札機があるようだ!

鶴見線あるある

鶴見線

駅に猫がいることが多いです。そもそも野良猫が多いのか、だれかが餌付けするようになって住み着いたのかは不明ですが、やたらと目にする機会が多かったです。
私が訪れた際に猫を発見した駅は、浅野駅、昭和駅、扇町駅。他の駅でも見かけるかもしれないですね!

鶴見線

また、鶴見線は電車とホームの隙間がやたらでかい。電車に乗るときにふと気付いたので写真に収めたわけですが、他の路線に比べると大きくないっすか?

鶴見線の歴史を探る

鶴見線

鶴見線は、1926年に開業してから90周年を迎えました。色々歴史ある路線であるので、振り返ってみることにしましょう。上の写真は鶴見駅のホーム。普段使用されているホームの向かいにあるホームで、日中は人が立ち入らない場所になります。
そこには、鶴見線の歴史を展示する掲示板や、風情を感じるベンチが残されていました。

鶴見線

鶴見線は1926年3月10日に、貨物専用鉄道として開業しました。元々は浜川崎~弁天橋間と、大川支線のみだったそうです。
その後、「浜川崎~扇町間」「弁天橋~鶴見間」「浅野~新芝浦」「新芝浦~海芝浦間」の順番に開業していき、今の路線形態になりました。元々は鶴見線までつながっていなかったのが意外(*´Д`)

鶴見線

ただ、元々現在の形や駅のみではなかったようです。
廃止してしまった駅や、営業停止をしている区間もあったようなのですが、簡単に以下で説明します。
・本山駅
この駅の近くには曹洞宗の総本山である總持寺や、日本で最初の児童遊園地となる花月園目的のお客さんのために駅だったようです。開業からわずか12年で廃止されてしまった、短命の駅だったそうな。
・海水浴前駅
鶴見線が走っている工業地帯に海水浴場でもあったのか?と思うかもしれませんが、あったようです。それは、扇島という現在一般の方は立ち入ることができない島にあったようで、そのための駅だったとか。
・石油駅(浜安善駅)
石油精製工場があったことから石油駅という名前がついていたようです。浜安善駅の駅舎は近年まで残っていたそうですが、現在はなくなってしまったとか・・。

浅野総一郎によって作られた

鶴見線

で、何でここに鉄道を敷くことになったのか?そもそも、鶴見線が走るエリアは埋め立て地で、元々は陸地ではない場所だった。そのエリアを埋め立てたのが、セメント王と言われた「浅野総一郎」だったのです。
浅野は1897年に東京~横浜間の遠浅な海岸に注目し、ここに大型の船を着眼できるようにし、また運河を開削することを決意する。そして、安田善次郎や渋沢栄一とともに「鶴見埋立組合」を設立。1913年に鶴見周辺の埋め立て工事がスタートし、その15年後の1928年に京浜工業地帯といわれる、鶴見周辺の工業地帯が完成した。
鶴見線の開業は1926年のため、埋め立て工事がスタートして京浜工業地帯が完成する間に一緒に作られた感じになるようです。
浅野総一郎は、それだけでなく神奈川の有名進学校である浅野中学・高等学校の創設者でもあり、また川崎の地名にも浅野の名が残っている。1930年に82歳で生涯に幕を閉じ、現在は近くの総持寺で眠っているという。

鶴見線の駅を紹介

鶴見線の駅は、とにかくネタがある駅が多い。工場地帯でもあり、鶴見駅以外全て無人駅というだけですでにネタになるのですが、それ以外にも多くのネタを秘めている鶴見線の駅。
ということで、以下で幾つかの駅をネタを交えて紹介していきます。

すさまじい雰囲気の国道駅

鶴見線

国道駅は、もしかしたら鶴見線の駅の中でも一番有名な駅かもしれない。「国道」という駅名としては似合わない名前もインパクトがありますが、この駅のすごいところは改札を出るとすぐわかる!

鶴見線

改札を出ると、この雰囲気である。まさに、平成の日本の首都圏とは思える異様な雰囲気。鶴見線の高架下に位置するわけですが、とにかく暗く、そして周囲の建造物がメチャクチャ古い。
写真の右側にあるように「国道下」という焼き鳥屋が営業しているのですが、その赤提灯がいかにも昭和の雰囲気を感じる。

鶴見線

そして、国道駅のもう一つの見所がこれだ!ネットで検索すると色々な方が紹介しているが、高架下を出たすぐの場所には、第二次世界大戦の際に打ち込まれた機銃掃射痕が見られる壁があるのです。

浅野総一郎からとった浅野駅

鶴見線

こちらは、浅野駅。名前の由来は、上記で登場した浅野総一郎の名前からきています。
この駅は、運行本数も乗客数も少ないにもかかわらず扇町方面の上下線と、海芝浦駅方面の上下線が面するため4番線まであり、ホームは3つあるという規模の駅。

鶴見線

鶴見線

とはいうものの、さすが鶴見線。駅の雰囲気はこんな感じ(笑)
駅のホームは広いものの、植物が元気に成長をし、広いホームを野良猫が歩き回るという一瞬廃駅かとも思えるような雰囲気。

一般人は外に出られない海芝浦駅

鶴見線

鶴見線の駅の中で一番インパクトが強いのはこの駅ではないでしょうか?
駅のすぐそこが海という衝撃の光景が広がる海芝浦駅。平日は東芝の社員の方が利用する駅なのでしょうが、休日は駅を観光がてら見にくる客が多いようです。

鶴見線

というのも、この駅の外は東芝の私有地となるため、一般の方は改札から外に出ることができないのです。なんという駅・・。駅の外に出られたらどうにでもなりますが、駅の外に出られないとなると、この駅で終電を逃すと駅のホームで潮風を浴びながら1晩を過ごすことになります・・。要注意(⌒-⌒; )

鶴見線

とはいえ、一応鶴見駅にも目立つところにこんな注意書きがあるので、まあ気づかないってことはないと思いますがね!
何も知らないで、初めてこの内容を見ると「え、どういうこと?」ってなるんじゃないっすかね!

鶴見線

そんな海芝浦駅には海芝公園という公園が解放されている。ここも改札の外ではなく、駅の構内にあり、電車を待つ間はここで東京湾をじっくり眺めることができる。
ベンチもあるし、景色にしても横浜ベイブリッジが見える他、暗くなった時は夜景も綺麗に見えるそうなのでもしかしたらデートにもいいかもしれませんぜ!でも、くれぐれも終電には気をつけて(⌒-⌒; )

安田善次郎からとった安善駅

鶴見線

こちらは、鶴見線の中間地点に当たる安善駅。
この駅も、浅野駅や大川駅と同様に人の名前からきている駅なのです。その方は金融王といわれた「安田善次郎」からきているという。
安田善次郎は安田財閥の創始者で、旧富士銀行を創業しただけでなく日本銀行の初代理事を務めた。その他には、金融を通じて多くの事業化を支え、安田によって救われた銀行は80にも及んだという。まさに、資本主義経済の基盤を気づいた方なのです。
浅野総一郎が由来の浅野駅、大川平三郎が由来の大川駅、そして安田善次郎が由来の安善駅。なんで安田駅でなく安善駅なのか?
あくまで予想ですが、安田駅は新潟県にも高知県にもあるようだ。駅名は基本被らないようにすることが多いため、この駅は安善駅としたのではないだろうか。
駅名かぶりの例で言うと、東京や神奈川だと「武蔵××」と武蔵がつく駅があるが、これは駅名がかぶらないような策のことが多いのだとか。

鶴見線

安善駅のホームの両脇以外にも多くの線路があります。この路線の中には、先ほど出てきた石油支線の線路も含まれるようだ!

JFE関係者専用の出口がある浜川崎駅

鶴見線

海芝浦駅は東芝の関係者しか出ることができませんが、ここ浜川崎駅はJFEの関係者のみしか出れない出口があるのです。上の写真は浜川崎駅の改札になります。「これが改札かよ!」と突っ込みたくなると思いますが、そうなります!

鶴見線

立入禁止と言われると入って見たくなるのが人間の性ですが、ここは撤退!こういう特殊な出口や改札があるのは、浜川崎駅と海芝浦駅と京浜急行の神武寺駅くらいしか知らないっすな!

鶴見線

ちなみに、浜川崎駅には鶴見線の向かいに南武支線の駅があり速攻で乗り換えることができます。まぁどちらもマイナーな路線になるので、この駅の存在は知られていないわけです。

大川駅

鶴見線

大川駅も、朝の駅と同様に人の名前から取られたようだ!どの方の名前かというと、日本の製紙王といわれた「大川平三郎」という方だそうです。
大川は、ヨーロッパの製紙の技術を学び製紙業として非常に優れた知識をもち、四日市製紙・中央製紙などの製紙行の会社など80もの会社を経営することにもなったそうな。
で、何でこの駅に大川平三郎が関係しているのかというと、鶴見線の前身である鶴見臨港鉄道を設立する際の発起人にもなったそうで、大川さんの名がこの駅に使われることになったという。

鶴見線

大川駅は端になるわけで、駅から先は雑草が生い茂る状態になっていた。首都圏にありながらも、こんな感じの駅なので私が訪れた際もそうでしたが写真を撮る鉄道好きの方達がよく訪れる駅のようだ!

武蔵白石駅

鶴見線

こちらは武蔵白石駅。駅名に「武蔵」がつく場合は、たいてい被り回避であることが多いが、今回もそのようだ。すでに白石駅は存在しているようなので武蔵白石駅となったようです。
では、白石という名前はどこから来たのかというと白石元治郎(しらいしもとじろう)からきているようです。この方は、実業家で日本鋼管の初代社長を務めた方。ただ、何でこの駅の由来になったのかというと、浅野総一郎の娘婿(娘の結婚相手)だからなんだとか。
白石さんも鶴見臨港鉄道の創業に出資したかと思っていたのですが、そうでもないよう。。

鶴見線

この武蔵白石駅は、扇町駅方面の列車のみが停車し大川駅行の電車は停車しない。ところが、大河までの切符を買っていれば武蔵白石駅でも降車していいという運賃法則なんだそうです。

昭和駅

鶴見線

続いての駅は、昭和駅。

鶴見線

駅舎はかなりの年季を感じます。で、この「昭和」という名前は一体どこから来たのか?元号の昭和かと思いきやそうではなく、近くにある「昭和電工」の名前からきているようです。
ちなみに、熊本県には平成駅があり大阪府と長崎県には大正駅があるようです。

鶴見線

昭和電工は、日本電気工業と昭和肥料の会社が合併して両社の名前を取ってできた会社。工場がここにあるだけで、本社は東京都港区にあるようです。

猫と工場だらけの扇町駅

鶴見線

なにこの駅って感じ(笑)
どっかの植物園の入り口かよって突っ込みたくなる風貌ですが、これは立派な神奈川県のJRの駅なのです!もうちょっと手入れしてもいいんじゃないっすか??
この扇町駅の名前には、またまた浅野総一郎が絡んでおります。実は浅野家の家紋は「扇」。というわけで扇町という名がついたそうです!浅野さん、さすがっす!

鶴見線

そんな扇町駅ですが、この駅には多数の猫がいます。私が訪れた際には10匹程度おりました。
エサは与えてはいけないんですな!

鶴見線

ちょっと近づいただけで逃げる猫がいれば、人間慣れしている猫もいた!こいつらは動じない奴ら!

鶴見線

猫を撫でていると別の猫が寄ってくるという、かわいいチームプレイを見せるここの猫!でも、エサは持ってねえかんな(笑)!鉄道の記事を書きに来たのに、猫に気を取られる28歳です。

鶴見線

で、取材を続けるのですがこの扇町駅は結構重要なことがあるのです!今回訪れた時がたまたまなのかしれませんが、明らかに鶴見駅付近の空気と、扇町駅の空気は違う。というのも、埃をまとったような匂いがするのです。
鶴見駅に戻った後は、すぐには収まったものの頭痛がおこり、扇町あたりの空気は大丈夫かと少し心配になったという。。。

鶴見線に乗ってみた

鶴見線の記事を書くべく、鶴見線に乗ってまいりました。鶴見線は分岐箇所が多く、本数も少ないことから全ルートを行くのに非常に時間がかかりました(⌒-⌒; )
運賃も1駅130円くらいですが、今回の記事を書くのに3,000円くらいかかりました(笑)

まずは海芝浦行きに乗る

鶴見線

まずは海芝浦駅行きを乗りました。ルートは上図の通り。6駅しかなく、駅間も短いので一瞬でつきます!

鶴見線

このルートの見所は、海が近いというところ!新芝浦駅付近からは、海芝浦方面に向かって左側に海が見えてきますよ。

鶴見線

休日は、東芝の関係者というよりかは海芝浦駅を物珍しさに見に来る方がほとんど。といっても、3両編成の電車には少ない乗車人数であるのです。つまり人はほとんどいないっつうことっすな!私が乗っていた車両には誰もいませんでした(笑)

休日は3本のみ!大川駅行きに乗る

鶴見線

続いては大川行きに乗ります。大川駅は鶴見駅を発車すると、安善駅から分岐して大川駅へと行きます。武蔵白石駅は横を通過するだけで停車はしないのがミソ!

鶴見線

そんな大川駅行きはめっちゃ本数が少ないのです。鶴見線の取材をしたのは休日なのですが、大川駅に行きたいのに昼間は大川行きがないため、夕方まで待たなければいけなくなる事態に!そしてようやく大川駅行きが現れた!

鶴見線

こちらは大川駅の時刻表。平日は9本のみ、そして土日・休日はわずか3本しかないという超激レアな駅でもあるのです。9時〜16時の間は一切運行しないため、私は土曜・休日に運行する18時1分発の電車に乗りました。
8時台の電車を逃すと、次は17時台まで電車がないため、何もない工場地帯で9時間近く待たないと次の電車が来ないという結末に・・・。
といっても、武蔵白川駅まで歩こうと思えば余裕で歩けるので、電車を逃しても問題ないんすけどね!
私が大川駅に行った時は、鉄道マニアなのか用があってきたわけでなく写真を取りに来た方がほとんど。そのため、皆が一斉に駅舎、時刻表、ホームを撮り折り返しの電車に飛び乗るという珍光景を見ることに(笑)

一番奥の扇町駅行きに乗る

鶴見線

最後は、一番離れている扇町駅まで行きました。奥とはいえ、結構一瞬で着きます!

鶴見線

周囲は工場のみとなっており、コンビニすら見当たりませんでした。先ほど扇町駅に関してはいくらか説明したので詳しいことは省きますが、ここは猫と工場の街。電車が10分ちょっとで折り返してしまうため、そそくさと用を済ませ駅を後にしました。

おわりに

ちょっと長かったかもしれませんでしたが、いかがでしたでしょうか。地元の方や仕事で乗らない限り普段乗ることはない鶴見線ですが、京浜工業地帯の発展のために敷かれ、その礎を気づいた方々の名前も多く残る鶴見線。
観光地的な場所はないものの、ちょっと変わった旅や新たな歴史を発見すべく、ぜひ乗ってみてはいかがでしょうか?
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