こんちわっす!
日本中の知られざる場所を取材して記事にしているブログ「知の冒険」。今回紹介するのは、「岩槻郷土資料館」という、かな〜〜りマイナーな郷土資料館です。
この岩槻郷土資料館はですね、ただの郷土資料館ではなく”元警察署の建物”という変わった背景がありましてですね。しかも、その建物は昭和5年に建てられた当時では珍しい鉄筋コンクリートの建物なんですよね。
その造りがちょっと面白いということもあり、今回は展示物というよりは、建物の造りを中心に紹介していこうと思います〜( ̄▽ ̄)
元警察署のイカツイ近代建築
今回やって来たのは埼玉県さいたま市の岩槻という場所。岩槻ってたぶん人生で初めて訪問する場所だと思うんですが、地図で示すとココ。
川崎市の自宅から、ポンコツ軽自動車をぶっ飛ばして1時間30分くらいかけてやって来ましたよ!
そして、今回のターゲットである郷土資料館がこちら!!
うわっっっっっ( ´Д`)y━・~~
何かやけにイカツイ建物っすな。。というか、パッと見は郷土博物館には見えないですよね。。不気味な感じがする外観ではありますが、これが昔は警察署だった建物なんですよね~。
今は岩槻市の郷土資料館となっていますが、パット見は郷土資料館に全く見えないどころか、人の気配を感じないっすわ(;・∀・)
では、早速中に入ってみましょうか!
お~、館内はこんな感じになってましたか!
外観がかなりイカツかっだけに、オシャレな内部とのギャップに驚かされます。ここはスタッフの方が常駐してはいますが、基本的には各自で展示物を鑑賞する感じになるっぽいです。
とはいえ、私の場合はスタッフの方にお声がけをしていろいろ話をしていると、二階にいるスタッフの方を呼んでくれて、主にこの建物について色々解説していただきました(*´▽`*)
ということで、ちょっとここからこの建物の背景に迫っていきたいと思います。
元警察署の近代建築
この郷土資料館は、展示物というよりも建物が大変珍しいわけですが、建物は1930(昭和5)年に建てられた近代建築であり、元々は岩槻警察署の建物だったんですね!
埼玉県土木課が設計を行い、当時の額で三万円ほど、今の額に換算すると1億5,000万円ほどをかけた鉄筋混凝土(コンクリート)造二階建ての建物です。
昭和5年というと、日本でも鉄筋コンクリートが取り入れ出した時期でした。しかも、埼玉県などの関東地方では、数年前の1923(大正12)年に関東大震災がおこりましたよね。。これを受けて、首都圏にあった多くの建物が倒壊してしまったこともあり、この建物が建てられたころは「どうやって壊れない建物を作るか」について考えられていた時代でもありました。
そうした背景があり、この時期はより頑丈な鉄筋コンクリート造の評価が高まったことで、東京では復興小学校という全てが鉄筋コンクリート造の学校が1931(昭和6)年までに117校建てられることとなりました。
そんな復興小学校と同じような感覚で、この警察署の建物も建てられたみたいなんですね。
頑丈さを非常に重視した造りということもあり、この建物は建てられて90年近く経ってはいるものの、本当にしっかりと造られているようで、3.11の東日本大震災の際もビクともしなかったそうです。
とはいえ、そうした頑丈さだけでなく、全体的に装飾性の少ない簡素な外観ではあるものの、外観や内部をよく見ると、丸窓、庇(ひさし)などにはアールデコ装飾があり、アーチ・窓などに昭和初期の特徴が見られるんですよ!
事務室をよ~く見渡すと、柱など、いろんな場所にこうした丸みが見られますし、、、
天井にもさまざまな装飾が見られますな~。
受付奥の扉に目を向けると、扉がこれまたオシャレな形をしてますね!
事務室の隣にある署長室は「文化財情報コーナー」になっておりました。。
一方、事務室奥にある廊下を進むと、刑事室、宿直室などの部屋があり、これらの部屋や廊下にも色んな郷土資料が並べられています。
が、今回の記事では展示物に関しては触れません(笑)
展示物は、他の郷土資料館と特に変わりないものとなっているので。。(;・∀・)
ちなみに、刑事室にもこうしてたんまりと郷土資料が展示されていました。
なんだか、ギャップが凄いっすな。。
そんな館内の中でも、一番の見所は、この階段かもしれないっす。手すり、装飾、白い壁などは外観の硬さとは違った特徴を見せています。
これは、石ではなく砂利とかそういうのを混ぜて作ったコンクリートって話してた気がする。。
階段の側面にあるこちらの装飾は、「アカンサスの葉」をレリーフ化したもの。”アカンサス”とは、地中海で咲くで、ギリシャ彫刻によく取り入れられています。
あと、近代建築にもよく見られるので、こういう建物に訪問した際には”アカンサス”がないか注意してみると、割と見られるかもです!
お金をかける所・かけてない所
そんな岩槻郷土資料館の建物ですが、建物を見るとあることに気づくんですね!
それは、装飾があるお金をかけている部屋と、そうでない部屋があるということ。
例えば、入り口すぐの事務室ですと、柱や天井などに様々な装飾が見られるわけですが、、、
こちらの留置室を見てみると、天井などは簡素というかいわゆる普通の建物にしか見えないっすよね!
そう、この建物には「装飾を施したお金をかけたエリア」と「装飾を施す必要がないお金をかけてないエリア」があるんですね。
それを案内図を用いて説明したいんですが、岩槻郷土資料館の一階はこんな感じになってます。いろんな部屋があるわけですが、この中で外部の人間、いわゆるお客さんが入るであろうエリアが、先ほど話した「装飾を施したお金をかけたエリア」になります。
色付けするとこんな感じですかね。
赤く塗ったエリアがお客さんが来るであろう場所。外部の人間が入る場所であれば、外の人にも良い印象を持たれるように、よりお金をかけて豪華な造りにする必要があるわけです。
ただ、そうでない場合、つまり内部の人間とかしか立ち入らない場所であれば、別にお金をかけた造りにする必要はないわけです。なので、署長室、応接室、事務室、あとは廊下に二階へ上がる階段には、お金をかけた装飾が見られますが、他の部屋は簡素な造りになっているんですね。
この留置室においては、手前は巡査詰め所で、奥が留置するためのスペースが三つあったようなんですね。天井と壁を見るとわかるんですが、奥が元々は三つに区切られていて、捕まった方を入れてたスペースなわけです。
そこが、今ではこうして郷土資料館として郷土の品々が展示されているっていうギャップが何ともいえないっす!
この部屋はそういった目的の部屋で、外部のお客さんが来る場所ではないので造りが簡素、つまりここにお金をかけてないってことっす。
ただし、先ほどの事務室や二階へ上がる階段などには色んな装飾が見られまして、、
手摺りや段差にも丸みを作ったり、あとは壁にも装飾が見られるわけですな~。
この赤枠で囲った装飾は、足元の部分と合わせて敢えて造ったと思うんですが、この装飾なんて本来は必要ないと思うんですが、それでも金をかけてこうした造りをしているわけです。
警察は上から目線??
あと、スタッフの方に教えていただいた中で一番面白かったというか、「へぇ~」と思った話がありましてですね!
それが、入り口すぐのカウンターなんですよね。
このカウンターを挟んだ両側の床の高さに高低差があるというのがポイント。とはいえ、こっちからだとちょっとわかりずらいかもなので、逆から見てみましょうか。。(;・∀・)
こっちから見た方がわかりやすいかもしれないですかね。
カウンター側から入り口を見ると、入り口の扉が低く見えるように、カウンターを挟んで高低差があるのがわかります。上の写真で見ると、写真手前側の方が床の高さが高くなっており、写真奥側(入り口側)が低くなっているんですよね。
これが何を表しているか、、、あくまで解説してくれた方の推測ですが、「戦前の警察署だったということもあり、入ってくる方に対して威厳を示すために警察側の方が目線が上になるようにしてた、とも考えられるのでは!」ということっす!
あくまで解説してくれた方の見解なので、真実かどうかはわかりません。でも、昔の建物の作りを見て、当時の生活や風習、考えなどを推測することは面白いな~と思うわけですな。
おわりに
はい、以上になります!
今回は郷土史旅館を紹介したものの、展示物でなく建物に焦点を当てて話させていただきました。
博物館にも色んな見方があるわけですが、建物が見所の博物館って結構多いんですよね。同じ埼玉県ですと、前回の記事でも紹介した川口市にある旧田中家住宅も素晴らしい近代建築ですし、あとは、同じさいたま市にある浦和郷土館なんかも見応えある建物なんですよね。
今回のように元警察署だった建物ってケースは珍しいですが、近代建築の博物館は全国にたくさんあるので、興味ある方はぜひ他の博物館も行ってみて下さいね~!
ではでは、また次の記事でお会いしましょ~
参考文献
詳細・地図
住所 | 埼玉県さいたま市岩槻区本町2-2-34 |
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入館料 | 無料 |
開館時間 | 09:00~16:30 |
休館日 | 月曜日(祝日は除く) 祝日の翌日(土曜日・日曜日・祝日は除く) 年末年始(12月28日から1月4日) その他特別整理期間・臨時休館日 |
駐車場 | 無料 |
電話番号 | 048-757-0271 |
アクセス | 東武アーバンパークライン(野田線)「岩槻駅」より徒歩10分 |
リンク | https://www.city.saitama.jp/004/005/004/005/iwatsuki/001/p009074.html |