便所国道は本当に存在した!?日本一長い国道山岳トンネル「雁坂トンネル」の歴史を紐解いた!

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「便所国道」といわれる公衆便所があった!?

さらにここ秩父往還には「便所国道」と言われている便所があるそうです。といっても、これは誰かが勝手に考えていつの間にか広がっただけって感じらしいですが。。というのも、その辺の真意を確かめるべく、雁坂峠に上った際に雁坂小屋まで行ってオーナーにその辺の真意を確かめにも行きました。
▲巡視小屋として誕生した雁坂小屋
その雁坂小屋がこちら!雁坂峠から、秩父方面に少し下った平地にあるこの小屋。元々は、営林署の巡視小屋として1932年に建てられました。その後、1950年には倒壊寸前になった建物を県の許可を受けて修繕し、1953年より委託管理が始まりました。
1967年には埼玉国体の山岳競技宿舎として宿泊棟が建て替えられ、その後に一部増築して現在の姿に至るそうです。今現在のオーナーは三代目にあたるとのこと。到着したのが9:00頃とあって、宿泊客の布団を干したり清掃したりと結構忙しそうにしていました。
忙しそうにしているので少し声をかけるのをためらいましたが、向こうから「あっ、こんにちは疲れ様です!」と挨拶してくださったので、この際にと便所国道に関して聞いてみることに!!
すると、
「あ~便所国道は、この裏ですよ!」と教えていただき、建物の裏を見てみると、、
▲「便所国道」の由来となった便所
あ~これね!これこそが、便所国道と言われている便所!
一応ネットで事前調査を簡単に済ませた時にこの写真だけは確かに見ましたわ!!今現在もこの便所は存在しているのかと思っていましたが、堂々たる佇(たたず)まいっすね(*’▽’)
秩父往還が1953年に国道に昇格したということで、この道が国道だったのであれば確かに国道が便所を貫いているということで「便所国道」というおもろい名前がついたわけなのですが、その真意を確かめようとオーナーに聞いてみたところ意外な答えが!!
「でもね、これ何でこんな名前がついたのかって感じですよ。このトイレの道は本当に国道だったかは定かじゃないんですよ!私が小さい頃はよくマスコミも来てね、『便所国道はどこですか?』といわれて取材していたものですよ」
とのことでした。つまり、「便所国道」という名前が面白かったからか独り歩きしただけで、この辺の関係者は「???」って感じのようです( ;∀;)

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※「今昔マップ on the web」を元に作成
そこで、オーナーの話を踏まえてあらためて地図を確認してみることに。
上の地図の赤い線が、オーナーが言っていた秩父往還と言われる道。こちらは確かに国道140号線だったようです。ただ、問題は青い線の「黒岩ルート」と言われるルート。ここは国道に指定されていた??って感じのようで、
※「今昔マップ on the web」を元に作成
そして、雁坂小屋付近を拡大した地図がこちら。
赤ルートである秩父往還が旧国道140号線ならば、雁坂小屋付近は通っているものの、便所は通っていないことになるわけです。ということで、便所国道はネタとして定着しているにすぎないようです・・。

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日本一のトンネルを掘るためには様々な壁が・・

上の写真は、現在の雁坂トンネル。このトンネル工事には一体どんな背景があったんでしょうか?
計画における最大のテーマは「ルートの設定」でした。最初に調査に基づいて想定した実現の可能性があるのは9ルート。このルートの中から、環境保全、経済性、指向性、防災安全性を考慮してルートが決められることになったのです!
このトンネルが作られる一帯は秩父多摩国立公園でもあるため、特に周辺の環境に配慮する必要があり、今回のトンネルのように長距離のトンネルを造る場合は、火災発生時の避難専用のトンネルも掘る必要がある。
そのように、単に一本のトンネルを掘るだけで様々な観点を考慮する必要があるのですね!!
そのような過程を経て、雁坂トンネルの長さを6,625mに決め、一般車両が通行する本坑の他に、火災事故などの避難場所として利用する避難坑、さらにはトンネル内の排気ガスの充満を防ぐための換気坑・地下喚起所なども作られました。
トンネルを掘った時には、掘った際にズリが大量に出るため、周辺の沢などに埋め立て処理を行いました。トンネルは山梨県側と埼玉県側両側から掘り始めたそうですが、特に埼玉側は冬場の寒さが厳しく、またアプローチの道路が長く狭いため作業の効率が悪かったそうです。。
構想から40年、実際に工事に着手して6年の歳月で雁坂トンネルは無事に貫通したのです!!
▲開通前のセレモニーが行われた「道の駅 みとみ」
そして開通を11日前に控えた1998年4月12日には、トンネルを挟んだ山梨県三富村と埼玉県大滝村との間で記念セレモニーが開かれました。くす玉で開通を祝い、「道の駅 みとみ」では両村の住民たちはお互いの特産品をもてなし、お互いにこのトンネルが出来たことで交流が広がり両村の発展を願いました!
▲金田一晴彦の詩碑
そして、道の駅の敷地内には金田一晴彦の詩碑が建立され、セレモニーの日に除幕式が行われました。詩碑の除幕式の後は、会場が懇親会の場となり、太鼓の演奏、ジュース早飲み大会(なんで早飲み??ww)など様々なイベントが行われ、開通が祝われたのです!!
さらには開通の4日前には雁坂トンネルマラソンが行われたり。
そして1998年4月23日、ついに雁坂トンネルが開通。管理事務所の脇には白い特大のテントが設置され、500人を超える式典出席者やマスコミが開通記念式典に臨みました。

一番乗りは20日前からスタンバイ!!

開通に向けてセレモニーが行われ、開通した1998年4月23日には、両県テープカットをして国、県、市町村の代表者が訪れました!
40年越しの懸案だったトンネルの開通は、両県にとって「新しい時代の幕開け」でした。
▲山梨県側にある料金所
そして運命の開通!山梨が県側の入り口の一般車両の第一号は、塩山市の方。なんと、20日前からテントで寝続けてこのトンネルの開通を待ったという( ゚Д゚)
まじかよ、強者(つわもの)過ぎでしょww
さらに、埼玉県側の第一号は千葉県在住の運送業の方。この方は、3日前の4月20日に待機していたようです。そもそも、この方は屈指の「開通マニア」のようで、これで135箇所目の一番乗りであるとのこと。
「何回やっても真新しい道路を走るのは気持ちがいい!!」とのことらしいですが、世の中色々な人間がいるもんですな(笑)
そして、開通初日は多くの車が押し寄せて大渋滞が発生!こうして、山梨県と埼玉県を結ぶ新たな歴史のページが開いたのでした!これによって、埼玉県と山梨県の交流が深まり経済効果など様々な辺でプラスになる、、と、考えられていました。。。

交通量が少なく、現状はヤバイ!!

▲6,625mもの長さを誇る雁坂トンネル
1998年に開通し、今年2018年で20年目を迎える雁坂トンネル。開通から10年が経った2006年までは、計画交通量の83.6%の交通量があり、計画よりは収入は下回っていたもののほぼ安定した経営で推移していたそうです。
ところがどっこい、景気が低迷していることや、圏央道の鶴ヶ島~八王子間の開通(2007年6月)や高速道路料金の割引などの周辺環境の変化により、交通量が減少してきてしまったのです。
引用元:山梨県県土整備部(平成23年8月)
というか、グラフで見てみると2001年からずっと下降線をたどっており、特に2006年から角度が激しく急降下してしまっています( ;∀;)
そのため、雁坂トンネルは維持管理費を見直さざるを得ない状態になり、経費削減を行ってきたとのこと。そして、計画交通量と実績交通量が乖離しているということで、経営方針の見直しも行われているとのこと。
ただこの道路、普段は有料であるものの2015年の7月1日~11月30日の153日間の間は、地方創生交付金を活用して全車両を対象に無料化を実施したとのこと!この年は、前年度の交通量(22万3070台)に比べて通行総台数33万4912台と約50%ほど増えたそうです。
▲山梨県側にあるブドウで有名な勝沼町
この効果によって、沿線地域への観光客誘客や観光振興に大きく寄与したとのこと。ということで再び無料化の声が上がっているようです。もしかしたら無料とはいかないまでも料金を安くすることで交通量が増えて収入が増えるなんてこともあるのだろうか。。確かにこの道路、片道だけ通るってケースはあんまなく、往復で通ると考えると普通車で1,460円。
「わざわざ1,500円かかるんだったら、別の場所に行くわ!」ってなるんですかね。。
さらにはこのトンネル、なんと一般国道なのに自転車や歩行者は通行できないという欠点も抱えています!GoogleMapのクチコミとかをみても「何で国道なのに自転車通れねぇんじゃい(怒)」という投稿も見られます。。ん~色々と問題点があるトンネルなんですね。。
いろいろと雁坂トンネルに関してまとめてみましたが、そんな感じですかね!しかし今回の取材はめっちゃ疲れました。。雁坂峠までの登山が往復で6時間近くかかったということで、早朝から半日を費やしてしまっただけでなく、足の筋肉痛も3日くらい消えませんでしたよ。。
ということで、雁坂トンネルに関する話はここまで!!

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おわりに

▲雁坂峠からは、富士山も見える
しかし便利な世の中になったものだ。。
昔は一日がかりで標高2,000m近い峠を越えなければいけなかったのが、今現在は車でわずか10分で通れてしまうわけですからね。山梨県三富長と埼玉県秩父市という主要道路とは言えない道ではあるものの、6,625mものトンネルができるまでには、なが~~い歴史があったんですね!!
ということで、青函トンネルや関越トンネルなど、ただ通るだけじゃなくてその辺の交通の歴史を調べてみると、先人たちがいかに苦労して移動していたかというのが身にしみてわかるものです!!
皆さんの近くにも何かしらトンネルがあるかとは思いますが、その辺の歴史を調べてみてはいかがでしょうか?思わぬ秘話が隠されているかもしれませんよ??

参考文献

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詳細・地図

住所 山梨県山梨市三富川浦
営業時間 24時間通行可能
入館料 普通車 730円
軽自動車 580円
大型車 1,200円
※さらに詳しくは<a “https://www.fruits.jp/~karisaka/toll_price_list.html” target=”_blank”>雁坂トンネルのHPにて
駐車場 山梨側に無料駐車場有り
電話番号 0553-39-2330
(※雁坂トンネル有料道路管理事務所)
備考 自転車と歩行者は通行できません。。
リンク https://www.fruits.jp/~karisaka/toll_price_list.html
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