今回は小田原にある明治時代創業の老舗料理店「柏又(かしまた)」というお店に関する記事になります。
以前、小田原の花街跡である宮小路(みやこうじ)に関して記事を書きましたが、宮小路が非常に賑やかだった頃にはいくつもの料亭や置屋があったわけです。現在はその多くがお店をたたんでしまったなか、今回紹介する柏又は今でもバリバリ営業を続けているということで、夜飯を食べにいくと同時に館内も案内していただき、今回記事にすることができました(°▽°)
ということで、そんな柏又というお店に関して以下で紹介していきたいと思います!
花街として栄えていた宮小路
以前の記事でも紹介しましたが、JR小田原駅から南にある宮小路という場所は、かつて小田原の芸者さんたちがたくさんいて、料亭や置屋がある花街として栄えていた街でした。
小田原に初めて芸者が誕生したのは江戸時代の終わり頃と言われており、それから東海道線開通による別荘ブームによる著名人の来遊などによって小田原の花柳界も栄えていくことになります。
現在では、だるまや清風楼、あとは今回紹介する柏又くらいしか残ってない感じかと。十年ほど前であれば、かつて本陣だった小清水旅館が旅館として営業しており、小伊勢屋という旅館も大変風情のある建物だったそうで、そういった建物があったそうなんですけどね~。
んで、今回紹介するのはこちらの柏又(かしまた)という元料亭で、今はうなぎがメインの料理店ですかね。
創業以来、「電力の鬼」と言われた松永安左エ門を始め、作家の菊池寛、画家の小野佐世男など数多くの著名人に愛されたお店らしいですよ!
めっちゃ歴史を感じる外観ではありますが、果たして中はどうなっているのか??
早速入店してみましょ〜〜〜。
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親切な店員さんに案内してもらった
店内に入って隅っこの席に着席。
この柏又は昼営業と夜営業に分かれており、元々は昼営業の時間に突撃しようと思ったんですが昼は結構お客さんが多くて話聞きづらいだろうな~と思ったので、急遽夜営業の時に突撃しようと思ったわけです!
んで、夜営業の開店時間に間際であれば一番空いてそうと思って、その時間に合わせての訪問となったわけです。作戦通り、お客さんはまだ誰もいなく、店員さんに来店した背景を伝えるとウナギが焼き上がるまで館内を案内してくれることに(*´▽`*)
まずはお店の背景から。
この柏又(かしまた)、創業は明治初期であり創業者は兼本又次郎という方。この家の家紋が三つ柏であることから「柏」、自身の名前から「又」をとって、屋号を「柏又(かしまた)」としたそうです。
この建物は関東大震災の後に建て替えられて今に至っているので、築年数で言えば100年近いんですね。 この近くでは太平洋戦争での小田原空襲の被害もあったんですが、柏又は被害があった場所から少し離れてたので、それによる倒壊は免(まぬが)れたみたいです!
ちなみに、入り口は二つあるんですが一般の食堂は左の入り口っす。昔は、今の食堂は物置で二階の個室がメインだったため昔は右が入り口だったんですけどね。
とはいえ、今でも二階の個室を利用する場合は右から入るようです。よく入り口を間違える方が多いそうですww
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昔の入り口はこんな感じですが、こりゃ風情ある造りですわ。床が緑というのがこれまたいい。そして昔の家にはたいてい備えられている神棚も!
階段を上っていざ二階へ!
二階には全部で個室が四部屋あり、この部屋が一番大きかったっす。
個室は新年会や法事、さらには会社の接待などに使われることが多いそうです。私はシステムエンジニアの下っ端ということもあり、接待とかには一切無縁の人間。営業とかお世辞いうとかマジ苦手ですww
今はいらっしゃいませんが、昔は二階の各部屋には仲居さんがいて、お膳運びなどの仕事をしていたんですって。各部屋にいたって、なんて贅沢な!!
高度経済成長期とかバブル期のいい頃の時代の話なんですかね、今では考えられない話や。。
この辺は風情がありますわ。左側にぶら下がっている孔雀の絵は、開業に合わせて絵をかいてたものの完成が間に合わず、「未完成のままだ出しちまえ~」ってことで展示されているのだという。傍(はた)から見ると完成品に見えますけどね~。
上を見上げると「鰻」と書かれた一筆が展示されています。これは「電力の鬼」といわれた松永安左エ門の書なんですね。
ここから西に行った場所には安永記念館という博物館があり、彼は戦後電力会社を民営化する改革案をぶち上げて実現化させた人物。NHKでも彼の物語を題材にしたドラマも放送されたこともあるようなすげぇ方なんですね〜。
ちなみに、今は鰻が看板メニューのようですが元々は鶏料理がメインだったそうです。二階の各個室には全部屋でメイン料理の鳥の水炊きが出来るようにガス栓が備わっているんですね。
二階の床も緑一色。ガラスは昔ながらの波打つ大正ガラスが使われており、木材もいいものが使われてんじゃないですかね~。
先ほどの部屋以外には、このくらいの部屋が三部屋ありました。襖の絵がいい味出してますね。
私が二階に上がった時は仲居さんが丁寧に掃除しており、二階に限らず館内はとってもきれいに清潔に管理されていましたよん(*’▽’)
この金ピカの扉が非常にインパクトあった。
二階については昔の料亭にあるような丸窓や豪華な欄間などはありませんでしたが、昔ながらのお店って雰囲気はありましたね。関東大震災後の建物ではあるものの、所々改修を重ねており外観のイメージ以上に古さを感じませんでした!!
二階を一通り案内していただいたので再度一階へ!
今回は厨房も見せていただけました。右奥にいる男性の方がいる場所がウナギや焼き鳥の焼き場ですね。ちなみに、柏又では井戸水を使って調理しているんですって。そのため、水道代が安く済むというww
この鷹すげぇ貫禄あるわ。本物の鷹と同じくらいの大きさはあるだろうか。
二階と厨房周りを案内していただき、再び食堂へと戻ってきました。
正面に松?かなにかの意匠が見えたりしますが、この食堂にもいくつか見所があいましてですね、、
こちらの座敷の方を見てみると・・・
まず見えるのは菊池寛(きくち・かん)の書ですわ。書かれている文字は、、
人生も一局の将棋也指し直し能(あた)はず
これは菊池寛の有名な言葉なんですってね。彼は無類の将棋好きのようで、人生は時が戻ることもなく指し直しはきかないということで、将棋を人生に例えているってことか。
この書が書かれたのは1942(昭和17)年の初夏ということで戦時中だったんですね。。今から75年近く前のものではありますが、劣化してなく綺麗に保存されていますな~!
さらにその奥には、初代貴乃花(一番右)の手形もありました。相撲の巡業の際にも来店されたのだろうか。。
あとは上の写真の真ん中に立っているやつだっけな、これは水車の柱を使っているらしい。
という感じで、この食堂に関しても一通りお店の方に案内していただき柏又ツアーはこれにて終了。ということで、そろそろお食事といきますか(*’▽’)
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独特のトマトサラダが超絶品!
鰻を食べる前に、まずはトマトサラダを注文しました!
昭和初期から出しているというこのトマトサラダが超絶独特で、なんとトマトが丸ごと一個ドンと置かれており、備え付けの楊枝を使って切り分けるんですね。上にかかっているのは自家製のマヨネーズソース。スーパーとかに売ってるあのマヨネーズがそのままかかっているわけではあります!
このソースがめちゃくちゃ美味でしてね、いわゆる普通のマヨネーズほど濃くはないので、これだけドバッとかかっていても程よい味わいなのです。
断面をうまくとろうかと思ったんですが、この辺の写真技術がいつまで経ってもクソ過ぎて全然だめですね。。
トマトの中を覗いてみると、ほぐした蒸し鶏が詰められています。何ともオリジナリティあふれたトマトサラダ!
トマトはメッチャクチャおいしかったです。もうね、さっき採ったばかりのものを食べているような感覚。食べ終わった後はちょっとネットを漁ってみたんですが、ここを訪れる多くの方がこのトマトサラダを注文されているようです!
900円とちょっと値は張りますが、十分おいしい一品です!
ウナギは100年以上昔からの味
そしてトマトサラダを食べた後に、メインの鰻が到着!備長炭を使用しており、一枚一枚時間をかけて丁寧に焼かれているんですね。秘伝のタレは創業当時から継ぎ足しており、100年以上経った現在でも当時と変わらぬ味を提供しているとのこと。
いつもラーメンとかばっかりなのでウナギなんて本当に久々ですわ(*’▽’)
美味しくて結構一瞬で食べ終わり、お会計をしてお店を後にすることにしました。この時間に来て正解だったな。味は美味しかったし、館内を案内していただけてもう大満足でした(°▽°)
おわりに
入店したときは明るかったのに、ウナギを食い終わった頃にはすっかり暗くなってしまいました!
しかし味はおいしいのはもちろんのこと、店員さんが皆親切だったし今回訪問して本当によかった(*’▽’)
何とか店内を見学できればとな~と思ったんですが、頂いたパンフレットに「店内の見学もご案内いたします」と書いているので、頼めば普通に案内してくれるみたいです。次行った時は焼き鳥を食べに行こうかな~!
参考文献
詳細・地図
住所 | 神奈川県小田原市本町1-9-35 |
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営業時間 | 11:00〜14:30/16:30〜19:30 |
定休日 | 水曜/第2第4火曜 |
駐車場 | 無料 |
電話番号 | 0465-22-0267 |
アクセス | 小田原駅から徒歩15分弱 |
リンク | https://unagi-kashimata.com/ |