新陸奥楼で使われた輪島塗
ページは変わりましたが、まだまだ新むつ旅館の内部探索は続きます。
次は、新陸奥楼で使われていた食器の話っす。食器に関してはちょっとした話がありましてですね。この新陸奥楼周辺の小中野新地の遊郭で使われていた食器の多くは輪島塗だったんだそうな。
と言うのもですね、新陸奥楼のお隣にあった輪島楼(後の稲本旅館)の御主人が輪島から出てきた方らしく、輪島塗の食器をこの辺で売り歩いたのだという。
このお盆も輪島塗なんだそうですが、使いこなされていなく昔のものとは思えませんわ。そして描かれている花には意味があり、梅と蘭が描かれている右の赤いお盆はお正月から夏までで、朝顔(アサガオ)や蔦(つた)が描かれている黒いお盆は、夏から冬に使うんですって。
つまり、その時期に咲いている植物がお盆に描かれているってことですな。粋ですね~(*’▽’)
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そして、ここで使われていた輪島塗の食器は、蒔絵(まきえ)でなくて沈金という、彫った溝に漆を塗り、金や銀箔を埋めるという技巧で作られているという。
蒔絵と沈金という聞きなれない言葉が出てきましたが、 漆器(しっき)には主にこの二つの技巧によって作られているんだそうですよ!
へぇ~勉強になるな~。
この漆器の裏を見ると、丸に”さ”と書かれているのが分かりますね。
こういうのって、屋号が描かれるのが王道パターンだと思うんですが、新陸奥楼という屋号に”さ”の文字は含まれてないし、これはいったい何を意味しているのか??
自力ではわからずお母さんに聞くと、これは新陸奥楼を創業した「川村さわゑ」さんの”さ”をから来てるんだそうです!
なるほど、創業者からきてたのか~!
この、丸に”さ”という記号は、漆器以外に屋根の瓦にも見られました。こんなところにもあったのか。。ディズニーランドの隠れミッキーみたいに、他にもどこかにありそうな気がする。。
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蔵から出てきた驚きのもの
続いてはこれ!
こちらは、二階の14畳の部屋に置いてあったもの。私が宿泊した部屋ですね。
これは何かというと、庭の真ん中に建ててあった蔵を解体した時に出てきたものだという。蔵の一部のもので、大工の方から「奥さん、これ何か文字が書いてありますよ」と渡されたものだとか。
何やら、やたら 文字が描かれていますがいったい何が書かれているのか??
すげぇ達筆でなんて書いてあるかわからんのでは?と思いましたが、意外に読めますね(笑)
「土蔵建立」と書いていて、等量の名前が書かれているようです。名前も西野松太郎、小川萬吉って書いてるのかな??
そしてここには貸座敷と書いてますがな。
貸座敷(かしざしき)とは遊郭のことです。明治時代に、遊郭のことを公式名称として貸座敷と呼ぶようにした背景があるわけですが、その遊興料が書かれていますね。
遊興料には壱等、二等、三等と分けられているようで、娼妓(しょうぎ)にも等級で分けられているのが分かりますね。娼妓とは女郎さんと同じ意味で、遊郭で働く女性の名称です。
ここには娼妓と芸者の名前が書かれてますね。名前と言っても、芸名と本名が書かれているようで、ちゃんと名前の横に「本名」と書かれているのが面白い。
芸名ってどんな風に決めていたんだろうな~~??
いろいろなものが盗まれる現実・・
新むつ旅館の内部をいろいろ紹介してきましたが、最後に悲しい話題を・・。
これは新むつ旅館に限らない話なのですが、ここは築125年にもなる旅館ということで、現代の建物にはない貴重なものがたくさんあるわけですよ。
となるとですね、、、そういうのを盗むバカ野郎が出てくるわけです。。
昔からあった掛け軸、古い雑誌や書籍などなど、気づいたら無くなっているようで、これまでいろんな物が盗まれてしまったのだとか。誰かが侵入して盗んだというのは考えにくいので、犯人はおそらく宿泊客ってことになるんですかね。。
古い貴重なものを欲しい気持ちはわかりますが、さすがに盗んでいくとは、、、信じられん。。
そのため、資料室に置いてあるこちらの遊客帳(客の名簿)も、以前は宿泊部屋に本物を置いてたそうですが、いろんな方から「マニアの方が盗んじゃうので、気をつけたほうがいいですよ!」という声を聞いたことから、結構なお金をかけてこれらをコピーしたのだという。
とはいえ、コピーでもいいからってことで盗むやつとか出てきそうで怖い。。皆さん、絶対盗んじゃだめですよ!!
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そんな話をしていたら、お母さんが奥からこんなものを取り出してくれました。新陸奥楼時代から使われていたおちょこなどの食器類ですかね。これらも輪島塗だったっけな。
これらも今までは資料室に展示していたんだそうですが、いくらか盗まれてしまったということで、これ以上盗まれないように表に出すのはやめたのだという。
この漆器は何だったっけな。。忘れてしまった。。
これらはお猪口(おちょこ)ですね。新陸奥楼という文字が描かれていてこれは盗まれたら腹が立ちますわ。右下にあるお猪口にはおかめが描かれていますが、裏を見てみると、、、
般若になるわけです。これはすごいわ。
こんなお猪口で一杯日本酒でも飲んでみたいと思いますよ。
あとはこれ。これは釘隠しというもので、釘の頭は見栄えが悪いということでこのようなパーツで釘を隠すわけです。そしてその形は、上の写真のように鶴だったり花の模様だったり。
これが、昔者もだとどのくらい値打ちがあるのかはようわからんですが、欲しい人がいるんだそうですよ。。
写真見てもわかるように、釘隠しを盗むためか回しまくって削れてる跡までありますもんね。。
今では、昔から残っている釘隠しは三つほどしか残っておらず、大抵が新しく付け直したものなんだそうです。
そんな感じですかね〜。
他にもまだまだ紹介したいポイントはたくさんあるんですが、記事ではこのくらいにしておきましょうか!
新むつ旅館の建物は昔のままの箇所が多いので、細かく見るとおもろい発見があるわけですな。お母さんもおしゃべりですごく面白い方ですし、とにかく新むつ旅館は、宿泊費以上の学びや発見がある旅館だと思います。
ただ、青森県八戸市ということで、東京や大阪からだと遠いのでなかなか行けないという方も多いとは思いますが、東北新幹線使えば東京から三時間で八戸まで行けますので(*’▽’)
おわりに
以上になります!
三つの記事で新むつ旅館を紹介してきましたが、まだまだ他にもネタはたくさんあると思いますよ!
創業125年にもなり、無くならないうちに訪問しておこうと宿泊しに行ったわけですが、お母さんはまだまだ元気そうなのでこれからも営業は続いていきそうです(*’▽’)
今回の訪問では全部を聞けなかったのでまた訪問しに行かなきゃですかね!
参考文献
詳細・地図
住所 | 青森県八戸市小中野6丁目20−18 |
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駐車場 | 無料 |
電話番号 | 0178-22-1736 |
アクセス | JR東萩駅から徒歩5分ほど |
リンク | http://hac.cside.com/shinmuturyokan/#top |