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明治時代からの建物「戸定邸」へ!
徳川昭武に関して簡単に説明したところで、一通り園内もうろついたので、戸定が丘記念公園で一番の見所である戸定邸へと足を運ぶことにしますか(*’▽’)
屋敷はめっちゃ広大!
内部はとっても広く、畳の匂いなどもほんのりして昔の建物感が満載っすわ!!
今回は、ボランティアガイドの方に解説していただきながら戸定邸を学ぶことに!このガイドは松戸市観光協会に所属するボランティアガイドで、戸定邸の休館日以外は毎日案内してくれます。ただし、時間は10:00~15:00までの間ですけどね。
広大な戸定邸を約30分間にわたり解説していただきましたぜ!
30分掛けてまわった戸定邸ですが、部屋数は全部で23もあります。あまりの部屋数の多さに、今回説明してくれたガイドの方も最初は案内するときによく迷ったという( ;∀;)
戸定邸の部屋には主に三つの用途があったようです。用途としては「来客や他家との交流に使う区画(オレンジ色)」「家族が暮らす区画(青色)」「職員のための区画(紫色)」。
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明治時代からの趣ある建物
この戸定邸は1884(明治17)年に建てられた建物。つまり、建てられてから140年近くが建っているわけですが、それでもこうして立派に佇んでいるわけです。
それは、建てられ方など様々な理由があるわけですが、その一つであるのがこちらの柱。邸内をじっくり見ると所々に見える巨木ですが、これだけの長い木材が用いられているわけです!!
しかし、よくこれだけの材木を用意したもんです。このような木材は、明治時代の建物には結構見られ、関東周辺でいうと東京都檜原村にある旧小林家住宅、千葉県木更津市にある紅雲堂書店などで見ることができます!
木材というと火災が広がりやすいという欠点があるものの、釘を使わずに木材だけで工夫をこなして組み立てている建物だと、逆に年季が経つごとに組み立てている木材同士が締まっていき、より頑丈になっていくのです!
昔の人の知恵ってすごいですね!
さらにはガラスも見所があるんですな!この建物に使われているガラスは明治時代に作られたもの。ちょっと上の写真でははっきりわかりませんが、明治や大正時代に造られた手作りのガラスは、ガラスを通して外を見ると今とは異なって外の景色が波打って見えます。
このガラスは当時手作りで作られたものなので、現在では同じガラスを作ることができません。
割れたら終わりっす・・( ;∀;)
その他には欄間(らんま)にも目を向けると、こんな綺麗な彫り物が。
こちらは使者の間の欄間に彫られているもの。これ、いったい何を彫っているのかというと、まさかの蝙蝠(コウモリ)ww
何でコウモリなのかというのは諸説あるようですが、中国ではコウモリは福を呼ぶという縁起のいい生き物とされているそうで、昭武はその中国に関しても少しは理解があるということをここに表現したのではないかとのこと。
そして中庭もすんごく風情ありますね!私が訪問した日の前日は雪が降っていたということもあり、雪もかぶっているという普段はなかなか見れない光景でした。
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格式や身分を重んじていたようだ
こちらは『使者の間』という部屋。皇室や華族などの大切な方からの使者や身分の高い来客のお供の人々が待機していた部屋っす!
ただ、この部屋は真ん中に欄間もあるように一応二つに区切られています。奥の部屋には床の間があるように、お供の中でもその共にしていた来客の身分によって奥で待ってもらうか手前で待ってもらうかの差があったという。
さらに、ここはお供の人々の待機所。来客が使う部屋の柱は木の中心部を使わない高級なものですが、この部屋に使われている柱は中心部というどちらかというと質が落ちた部分を使っています。
そのため、ここで使われている木材は割れやすく、不規則に割れるのを防ぐために上の写真のように意図的に割れ目をつけているのです。しかも、その割れ目を外側に向けて部屋の内側からは見えないようにしているというね!
こうやって、明治時代の建物には色々な場所に目を向けると様々な工夫や意図が汲み取れるんですね!!
さらには玄関も身分によって正面から入れる人とそうでない人がいました。一般開放されている現在の入り口は、上の写真の赤い矢印になっています。いわゆる、正面玄関ですね!
ただし、実は入り口はもう一つあり、白い矢印で示した場所にも小さな入り口があるんです。
徳川昭武がいた当時は、正面の玄関は来客や華族しか通ることが出来ず、その来客についていたお供の方は、白い矢印の方の小さい玄関から入ることしかできませんでした。
こういうのは時代ですね。今では人の身分によって入り口を分けるってことはまずないですけども、こういう明治時代には余裕であったわけです。
まだ他にもあります。上の写真に写っている窓は、ここで昭武の使いが料理を受け取って昭武に運ぶための窓。
どういうことかというと、この屋敷で働いていたコックは、直接昭武に料理を運べる身分ではなかったということです、そのため、この場所まで持ってきて、あとは昭武の使いの方(昭武に料理を渡せる方)がここから運んだわけです。
すげぇな、そういうのもちゃんと区別していたんか。。時代や考えが今とは全然違うわ( ;∀;)
あとは、この建物には唯一二階が一部屋だけ用意されているのですが、それは女中部屋。ただし、その部屋の窓は締め切っていて開けられることはありません。
なぜかというと、女中が来客された方を見下ろすことがないようにするため・・。以上のように、この戸定邸、いやこの建物に限らず、明治時代などの時代の建物には、そのように身分を意識したつくりというのが所々にみられるんですね!
面白いもんだ(*’▽’)
富士山だって見えるんだぜ!
改めてですがここは千葉県松戸市。戸定邸はその高台に位置しているということで、遠くには山々も確認することができるわけですが、何とここからは富士山も見えるんですね!!
ちなみに、どこに見えるのかというと上の矢印で示した場所。昔は何の建物もたっていなかったから綺麗に見えたんでしょうね!今では見えるっちゃ見えるんですが、矢印の場所にあるビルにかぶってしまうという感じらしいっす・・( ;∀;)
今日も、午前中は富士山を確認できたらしいんですが、私が訪れたのは午後。。残念ながら雲の中に隠れてしまったようだ。。
そんな感じでここから富士山が見えるということで、「関東の富士見百景」の一つになったそうです。
ちなみに、この「関東の富士見百景」というのは2005(平成17)年に富士山が両行に見える地点を選定したもの。ただ、関東とはいうものの長野県や山梨県など関東地方からはみ出しており、百景といいつつも選定地点は233箇所ww
そして、この富士山というのは戸定邸の部屋決めにも関係していたりします。上の図は戸定邸の間取り図ですが、この23部屋ある中で、徳川昭武の部屋だったのが上の図の矢印で示した書斎でした。
なぜ、昭武はこの場所を自身の部屋にしたのかというと、、
この部屋の正面に富士山が見えたからなんですね。上の写真からは富士山見えていないですけども・・(苦笑)
そんなわけで、富士山から遠く離れた千葉県松戸市においてでも、富士山が見えるか見えないかというのはとても重要な意味を持っていたわけです。富士山が見えやすいのは朝なので、昭武は日々起床した時にどんな姿の富士山が見えるかを楽しみにしていたんじゃないですかね(`・ω・´)
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丸窓や彫刻も垣間見える
戸定邸の見所としては、今の建物では見ることができない作りが所々に垣間見えるという点。
しかし、遊郭や赤線跡などを巡っている人間からすると、丸窓というのは見かけるだけでテンションが上がるもの。
こちらは欄間に彫られた彫刻。彫られた雀(すずめ)と竹というコンビネーションですが、。これは公家の出であるお母さんの実家の家紋なんだとか。
裏から見ると、透かし彫りとしてよく見えます。素晴らしい!!
今の大工でこれを作れる職人はいるんでしょうか??
公民館を経て一般開放に
ちなみにこの建物、1951(昭和26)年までは昭武氏の末裔が住んでいました。その末裔の家族は6人兄弟だったため、おばあちゃんを足して全部9人暮らし。
こんな23部屋もある建物を9人で暮らすとなると部屋が余ってしょうがないとは思いますが、それとは別に使用人が15人もいたそうです(笑)
最終的には、1951(昭和26)年に松戸市が買い上げて市の建物となりました。その後は公民館になり、色々な用途で使われ、結婚式なんかも行われたそうですよ!!
最終的には、1991(平成3)年に周囲の敷地2,3ヘクタールが「戸定が丘歴史公園」として整備されて一般公開されることになったとのこと。
おわりに
以上ですかね。私はここに訪問するまで戸定邸に関して何にもわかりませんでしたが、徳川昭武に関しての簡単な背景や、戸定邸に隠された様々な背景などを説明できたかと思います。
松戸市は観光地というわけでもないので、近場でなければなかなか訪問する機会はないかもしれませんが、しぜにゅたかな憩いの場であり、ボランティアスタッフの方が丁寧に教えてくれるので、よければ皆さんも行ってみてくださいね(*’▽’)
参考文献
詳細・地図
住所 | 千葉県松戸市松戸714-1 |
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営業時間 | 09:30~17:00(入館は16:30まで) |
入場料 | 戸定邸入館料 一般250円、高校生・大学生100円 歴史館入館料 一般150円、高校生・大学生100円 共通入館料 一般320円、高校生・大学生160円 |
入場料 | 無料 |
駐車場 | 乗用車46台、バス6台(電話にて要予約) |
電話番号 | 047-362-2050 |
アクセス | 松戸駅東口下車徒歩約10分 |
リンク | https://www.city.matsudo.chiba.jp/tojo/index.html |