今回は断崖沿いの道路に関する記事になります。その道路は静岡県にある「用宗街道(もちむねかいどう)」というあまり知られていないマイナー道路!GoogleMapを眺めていて行ってみようと思ったその道路は、あまりに崖が絶壁のため海上に道路を作った一見の価値がある道路でもあるのです。
そんなマイナーな用宗街道の訪問記を以下で紹介していきたいと思います。
本記事のポイント
・用宗街道は、海上に道路を作るほど険しい場所を通る
・崩落事故が何度も起こり、その度に通行止めになった
・通行止により、お店が閉店になったケースも
見出し
用宗街道はどこにある?
用宗街道はどこにあるのかというと、上地図の場所にあります。鰹節で有名な静岡県焼津市と静岡市の境目付近にある道路です。東京と大阪間を行き来する際にはこの辺りを通るものの、近くには東名高速道路や国道1号線が通っていることから、皆さんはそちらを通るわけですよね。
そのため、わざわざ海岸沿いのくねくねした道を通る輩はそうはいないため、この道は多くの人には知られていない道路なわけです。
もうちょっと拡大するとこんな感じです。GoogleMapで地形表示モードにしてみると、用宗街道の部分が割と厳しそうな場所であることがわかります。
▲日本海側の難所として有名な「親不知」
日本の地形は山勝ちで海岸沿いに切り立っている場所が多いため、今回の用宗街道のような道路が存在するわけです。日本で言うと、日本海最大の難所と言われる親不知(おやしらず)は割と有名ですが、地図でこのように探すとそんな場所は多々あるのです。
用宗街道付近を見ると、上地図のように薩埵(さった)峠付近もそんな感じになっています。薩埵峠は歌川広重の東海道五十三次にも出てくる場所で、現存する風景としては当時の風景に一番近い場所ともなっている景色のいい場所。海沿いにある道路は、このように平野と平野の間にある崖部分をいかにして道路を敷くか先人たちは考えたわけです。
さらに拡大するとこんな感じに。焼津市と静岡市の平野部の間を山間部が遮(さえぎ)っているのがわかります。東海道新幹線や東名高速道路などは、この山間部をトンネルによってぶち抜いているわけですが、用宗街道はもちろん所々にトンネルはあるものの、切り立った崖にへばるつくように道路を作っているのです。
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実際に用宗街道を走ることに!
今回は、愛知・京都遠征から自宅の神奈川方面に帰る際に用宗街道を訪問することにしました。取材の方は、上の写真の浜当目という交差点から行うことにしました。ちなみに、浜当目の読み方は、「ハマトウメ」です。読めね〜〜〜(^ ^;)!!
そして、この交差点には道路情報の看板や大型車通行不能などが出てくることで、この先の道路がなんかヤバ目なのは何となくわかるわけです!!
▲通行止を知らせる看板
私が訪れた2017年5月現在は、用宗街道は通行できますがこの先のエリアは2013年10月から路面沈下によって通行止めになっていたようです。その後、新しく浜当目トンネルを造り、2017年3月13日にようやく開通したんだそうです。ここに来たときは何も知らなかったのですが、開通したのは意外に最近だったのですね。。
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道路からの景色が抜群!!
用宗街道は断崖に沿った場所に作られていることもあり、歩行者専用のスペースが無い感じです。車を停めるスペースも所々にしか無いため、せっかくのいい景色をそう簡単にじっくり拝ませてくれないのが、用宗海岸の厳しさ。。
崖沿いの道で多いのがこんなパターン。恐らく左の道路が旧道だったのですが、土砂崩れ等によって通行に危険があることから、トンネルをぶち抜いて、そっちに車を通したという感じ。用宗街道の場合は、このようなパターンは数ヶ所あったものの、旧道は立ち入り禁止になっていました。残念。。
▲天気が良いと用宗街道の景色は抜群
海からは20mくらいの高さにある感じでしょうかね。そのため、少し高い場所から広大な海を見ることができるので、その景色は本当に壮観の一言!!初めてこの街道を通りましたが、いや〜本当に来てよかったな〜と思いましたよ!
そして、海が青い。私は実家が鎌倉で、死ぬほど湘南の黒い海を見ているため青い海を見ると何度でも感動してしまいます。この辺には東京湾のように工業地帯も無いようなのでそりゃそうか。。
▲海が青く、開けた大海原が見れる
やっぱり開けた景色っていいですね!180度近く開けた大海原は壮大そのもの!まぁこのような景色は用宗街道以外でも見ることはできますが、
断崖にそびえたつ建物!ホテルか何かか??崖の景色も圧巻ではあるが、よく見ると崩落している様子も見ることができ、
遠くには富士山が見える場所も。
大崩海岸崩落の歴史を探る!
この用宗街道周辺は、こんだけの地形ということでやはり長きにわたって崩落の歴史が続いているようでした。ここでは一体どんな歴史が有ったのかがメチャクチャ気になったので、ちょっと調べてみたわけです!
そして、この辺りには大崩海岸という名前も付いているようです。名前からして崩壊の歴史が長かったことがうかがえます。。この海岸はやたら崩れまくることからか、昭和の初期の頃から山崎直樹(1930 )、千谷好之助(1931 )らにより初めて岩石や地質の研究が行われていたようです。
▲崖崩れにより廃道となったトンネル
この海岸では、1971年7月5日午前8時45分頃大崩海岸を通る国道150号線に、約5,000トンの岩塊が一時に崩落して、通行中の自動車一台が押しつぶされる事故がありました。その後も、度々崩落する自然災害を繰り返し、2013年には台風26号によって、また通行止めになってしまったのです。
土砂崩れのような自然災害は、数年前に広島で大規模な土砂災害があって話題になりましたが、山がちな日本では本当に色々な場所で土砂災害による被害が後を絶たないようです。今後は、このような災害がおきない事を祈るばかりです!
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所々にある廃墟・・。
用宗街道を走っていると、街道から海の方に下れる道があったので、下って海の間近まで迫ってみることにしたわけです。すると、こんな廃墟的な場所が現れました。ここは元々は海水浴場だったようです。
どんな歴史があったんですかね?この後に出てくる日の出と同じように、通行止めによってお客さんが来なくなってしまったから潰れてしまったのか??真相は不明です。。
あ〜出た廃墟!「絶景!駿河湾一望!」と書かれたこのお店は「日の出」という名前のお店のようです。バブルの頃の遺構か何かかと一瞬思ったのですが、実際は違うようです。ここは2008年にハンバーガー専門店としてリニューアルオープンした店舗のようで、割と最近まで営業していたとのこと。
しかし、このお店に訪れた悲劇は2013年に発生した台風26号。この台風によって、お店が直接土砂崩れに巻き込まれたというわけではないのですが、国道150号線の用宗街道辺りが通行止めになってしまったのです。
ということで、通行止めになってしまったらもちろんお客さんも来れなくなるのでこのお店は休業状態ということでそのまま放置され今に至っているように調べた限りだと思っています。このお店はこのまま放置されてしまうのか。。
▲通行止によってお店が閉店になった「日の出」
このお店の経営者はどうなっているのでしょうね?何か気になるな〜〜。
このお店は、ネットで調べてみると食べログにも掲載されていました。掲載保留でですが。。ちょっと面白かったのは、通常の営業時間は11:30~17:15のようなのですが、満月の日は21:15までの営業というスタイル!
すげぇ、月の満ち欠けによって営業時間が異なるのって聞いたことないですわ!さすが、お店の看板に「月の道が見えるお店」と書いてあるだけのことはありますね!
海上に道路が作られる希少光景!
用宗街道をさらに北上(正確には北東上)していくと、一番の目玉である海上道路が出現します!
トンネルを通って、海上道路へと向かいます!トンネルとトンネルが二つくっついてできたトンネル。何かおもしろい。
トンネルを抜けると、駐車スペースが道路脇に現れました。ここで海上道路をじっくり見て行ってくれってことですよね?(笑)
駐車スペースにはちょっと下れる場所がありました!
ちょっと下ってみましょう!
今回の記事のベストショット!この海上道路が作られてから45年くらいが経ちますが、静岡県にこんな場所があったとは初めて知りました!今は国道1号線を通るためここをわざわざ通る人はあまりいないとは思いますが、何かがきっかけでここも有名になったりするんでしょうかね??
車が通る音と、波が打ち寄せる音が無限に繰り返されるこの場所。
あまり人が来ない場所なため、一人で黄昏るにはいい場所かもしれないですよ!(^^)!
用宗街道に残る遺構
海上道路の隣には、崖に沿った廃道が残されています。この道路は、1971年7月に発生した崩落事故によって通行止めとなり、新たに整備されることなく海上道路が作られることになったようです。45年近くこのまま放置されているトンネルなのですね。
そして、駐車スペースには立ち入り禁止の柵が立ててある場所もあります。この先もいければ行ってみたかったのですが、ダメか。。残念。。
▲崩落した石部トンネルの様子が確認できる
柵の先には何があるのかというと、石部トンネル(旧石部トンネル)というトンネルがあるようです。上の写真でもちらっと見えるのですが、トンネルの一部が崩壊して転がっている様子が確認できるかと思います。
旧石部トンネルに関しては、私は目の前に行くことはできなかったのでその他の先人のブログ等を検索して確認してみていただければと思います( ;∀;)
おわりに
用宗街道という場所は、ほとんどの人には認知されていない場所ではないでしょうかね。というか私もつい最近までは知りませんでした。ただ、たまたまGoogleMapで見つけて調べてみたわけですが、ここでも色々な物語があったのですね。
道路でも鉄道でも、熱海の近くにある丹那トンネルの様に交通の便をつなぐために色々な先人の努力や知恵があって今の東京と大阪間が結ばれているのですね。今後も、知の冒険ではこのような場所を探しては調査をしていきたいと思います!
参考文献
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詳細・地図
住所 | 静岡県静岡市駿河区石部用宗街道 |
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駐車場 | 無料で止められる場所あり |
アクセス | 用宗駅から車で5分くらい |
リンク | https://ja.wikipedia.org/wiki/静岡県道416号静岡焼津線 |