皇族が疎開した知られざる擬洋風建築博物館!山梨県にある「旧田中銀行博物館」の歴史を紐解く!

↑更新・取材裏情報はTwitterにて(^ ^)
今回は山梨県にあるマイナー博物館に関する記事になります。その博物館とは山梨県甲州市勝沼町というブドウの名産地にある「旧田中銀行博物館」です。うん、相当マイナーな博物館だと思うので知っている方はほとんどいないかとは思います!!
でも、そんな博物館に特攻して取材するのがこのブログの趣旨でもあるわけです!ということで、実際に取材して色々と学んできたので以下で紹介していきたいと思いまっせ~~!!
本記事のポイント

・元々は、中央線の敷設によって誕生した電信局舎だった
・銀行だった時は、繭(まゆ)やお米を担保にお金を貸していた
・「擬洋風建築」という近代化の時代西洋の様式を真似て作られた建物

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旧甲州街道沿いにひっそり佇む!

では、さっそく旧田中銀行博物館に訪問して取材することにした私。まずは、その場所を把握することに。上図は周囲が山に囲まれた甲府盆地の地図であり、旧田中銀行博物館はその東側に位置しています。住所でいうと山梨県甲州市勝沼町であり、ブドウの名産地でもある場所です。
私はこの場所を訪問する以前に知の冒険での取材のため何度も山梨県に行っていましたし、もっと前には卒業論文の対象スポットが山梨県内にあったこともあり山梨県は結構知り尽くしているつもりだったのですが、まだ勝沼辺りは未開拓でもありまして。。どんな場所か気になりますわ~~!
▲洋風のデザインっぽい旧田中銀行博物館
ってことでレンタカーをすっ飛ばして到着。お~これが旧田中銀行博物館か。しかし、周囲の住宅とは違いやけに洋風の建物ですね!なんでこんな感じの建物なのか気になるとこですが、その辺りは後に詳しく説明します!

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旧田中銀行博物館の歴史に迫る!

▲お客さんが他にいない静かな館内
早速博物館の中に潜入。中には、スタッフのおじいさんが1名おり、この博物館の歴史について説明していただきました。訪問した時には、他にお客さんはおらず私一人独占状態(*’▽’)
いや~やっぱりこの誰もいない知られざるスポット感がたまんないっすわ~。スタッフの方に解説していただき、好きなように館内を観察いたしました。ってことで、この博物館の歴史を紐解いていくことにしましょう!!

中央線開通による電信局舎として誕生

スタッフの方にはこの博物館の誕生から解説していただきました。この博物館の起源は、山梨県と東京の輸送を大変便利にした中央線の開通というところから始まるそうです!
▲東京と甲信越を結ぶ中央本線
中央本線は1889年4月11日に新宿-立川間が開業し、1911年には山梨県や長野県を経て愛知県にある名古屋駅までの全線が開通しました。東京方面から甲信越地方に行く多くの方に利用され、私もその方面への取材の時に乗りまくっております!!
▲甲州街道の難所である笹子峠
山梨県と東京都の間は笹子峠など大変険しい峠などが多く、アクセスは容易ではなかったため中央線が開通したことで大変便利になっていくことになります。その中央線の工事が行われている際には、資材の輸送計画などに用いるため通信手段も用意されることになりました。
1897年には八王子から勝沼まで電信が開通されられることになり、その際の勝沼側の電信局舎として勝沼郵便電信局舎が誕生したようです。

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その「勝沼郵便電信局舎」こそがこの建物だったんですね。それは明治30年頃だったようで、局長の田中英作が大工である松木輝殷に依頼して建てられたといわれています。
▲近くにある明治天皇の行在所
これには、田中が明治13年に完成した洋風建築勝沼学校の建設にあたり、等々力村戸長として係り、明治9年に洋風建築祝学校を完成させていた松木を大工棟梁に選び、完成直後に明治天皇の休憩所として利用される栄誉を得て以来の関係がありました。

郵便局舎の次は銀行に!

郵便局舎として明治35年まで使われた後は、大正9年に田中策と田中慶重らが中心となり、株式会社山梨田中銀行が設立され、カウンターがある銀行社屋として改修。重要書類の保管施設としてレンガ造土蔵、さらに繭(まゆ)蔵1棟、米蔵2棟が背後に整備されました。
社屋の裏にある蔵がこちら。手前の蔵が需要書類の保管施設で、奥にある蔵が繭(まゆ)蔵と米蔵になるのかな??
この繭(まゆ)蔵と米蔵は銀行を利用する方のための蔵でした。というのも、当時はこの銀行からお金を融資していただくときに担保にしたものは、生産した繭や米だったからなんですね。
今ではブドウの産地として知られる甲州市勝沼町。しかし、この建物が銀行だった明治の頃は米や生糸を生産していました。
▲鑓水に絹の道があったことを示す碑
山梨県などの甲信越地方や神奈川でいうと相模湖周辺、さらに東京の八王子の辺りでは日本が開港した明治の頃は生糸が主要な輸出品目となりました。そのため、山梨県内でも多くの場所で生糸が作られ生糸に支えられていたため、今現在でも蚕(かいこ)のことを「お蚕(かいこ)さま」と呼ばれていたりもするわけです。
他の記事でも結構書いておりますが、甲信越地方などで作られた生糸は最終的に横浜港に運ばれて輸出されますが、その中間地点として八王子に集められました。そのため八王子は桑都(そうと)ともいわれ、元々は江戸を通して運んでた生糸は八王子の鑓水という場所から横浜までショートカットして運ばれるようになります。
この道は「絹の道」と言われ、生糸を運ぶために敷かれた横浜線が開通するまで多くの人が通る道となったのです。「絹の道」に関しては、以下の記事に書いていますので見てみてくださいm(__)m
1階には昔この建物にあった様々な物が展示してありますが、だいたいが銀行時代のものですかね!上の写真に写っているのはハンコですね。何のハンコなのかはよくわからんですが。。
こちらには昔の硬貨と、、、あとは何だ??(笑)
色々なものが置かれまくっていますが、なんだかよくわかりません(⌒-⌒; )
すみません。。

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戦時中には北白川宮が疎開してきた!

その後、銀行の後は住宅として改修が行われ、第二次世界大戦中は北白川宮が疎開し、田中銀行は関係者である水戸部孚の住宅として使われていました。
▲和の要素が残る2階
そう、実はここは太平洋戦争のさなか、北白川宮がこの場所に疎開してきたのです。その理由は本土空襲によって被災することを恐れてではないかと思っています。
というのも、実は大本営は長野県の松代(まつしろ)という場所に移転する計画があり、そこに移転するはずが計画が幻に終わり昭和天皇は東京に居続けたのです。そこで、皇室の歴史が途絶えないようにということで北白川が山梨に疎開したと聞きますが、その辺の真実ははっきり私も分かっているわけではないので断言はできません。
ただし、疎開してきたこと自体は事実であるようです。その後、北白川宮は日本が連合軍に占領された後も、引き続き皇室の歴史を途絶えさせないための『皇統護持作戦』によって密かに別の場所に移ることになります。
この皇統護持作戦は中身を紐解こうとすると相当根が深い問題なので、だいぶ後になりますが松代を取材したり勉強して記事にまとめたいと思います。今回はこの程度に抑えておきましょう!!
んで、この博物館は2階には畳の部屋があるなど和の要素がとっても強くなっていますが、ここには北白川宮が疎開してきたときに宮司さんが宿泊していたそうです。
これは香炉(こうろ)ですかね。いわゆる線香を立てるやつ。最初、これの名前がわからなくて、「これって七輪だっけ?」って思っていたのですが、七輪は焼肉を焼くやつでしたね(笑)
扇子に君が代ですね。ここに疎開していたときはどのような暮らしをしていたんでしょうね。探せば何か資料とか出てくるのかしら??

国の登録有形文化財にも指定された

この建物は、1997年5月に国の登録有形文化財になり、1998年12月に田中逸策氏によって旧勝沼町に寄贈されました。
さらにさらに、2007年には経済産業省の近代化産業遺産にも認定されています。認定証には「官民の努力により結実した関東甲信越地域などにおけるワイン製造業の歩みを物語る近代産業遺産群」と書かれていますが、ワインとこの建物にはどんな関係性があったんだろう??
▲中央線の一部だった「大日影トンネル遊歩道」
ただ、「ワイン製造業の歩みを物語る近代産業遺産群」と書いていたように、甲州市勝沼町には複数の建物は近代産業遺産に認定されています。
例えばこれ。こちらは、2007年まで中央線の下り線として使用されていた大日影トンネル遊歩道。今現在は遊歩道として整備され、一般の方が散歩などの用途で利用されているそうです。中央線が開通するまでは、富士川を使って東海道線経由でワインを東京まで運ぶなど、ワイン輸送は長年の課題でしたが、中央線の開通はワインなど山梨と東京の輸送に革命をもたらしたんですね!
ちなみに、この遊歩道はたびたび安全性の問題で閉鎖になったりするというね。。
▲中央線開通によって作られた祝橋
あとはこちらの「祝橋」も認定された建造物っす。1922年にJR勝沼駅が開業したことにより、ブドウを駅に運ぶために作られた橋です。1931年に橋は開通し、今現在の橋は三代目になります。
こんな感じで、甲州市勝沼町にはワイン醸造を支えたインフラ施設・建築物として多くの建物が近代化産業遺産に登録されているのです!
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