和歌山県串本町にあった「大島遊郭」の歴史を地元の住職と古老とともに掘り下げた!

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名物遊女「おゆき」の菩提寺へ!

先ほどのおばちゃんから田代口という手掛かりを得た私は、その田代口という場所ともしかしたら遊郭について何か知っていないかと思い、付近にあるお寺「蓮生寺」を訪問。本日は12/31と大みそかではあるものの、お寺だったら誰かしらいるのではというね(笑)
▲おゆきさんの菩提寺である「蓮生寺」
で、この蓮生寺を訪問したのがまさかの大正解だったんです(*’▽’)(*’▽’)
境内に入ったものの、周囲に人がいる気配がない。。と思ったら、寺務所らしき建物から住職さんが出てきたのですかさず聞き込みを行うことに!!
すると、「遊郭ですか、場所だったら下に住んでいる方が詳しいと思いますよ。ただ、おゆきさんのお墓と位牌があるのですがご覧になりますか??」とまさかの展開になったわけですわ!!

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名物遊女「おゆきさん」とは??

ここで「おゆきさん」という女性が登場するわけですが、この女性に関して説明しようと思います。
▲横浜で伝説と言われたメリーさん
全国の様々な場所には、その地域で知られた有名人がよくいます。私が精力的に調査している横浜でいうと、本牧のチャブ屋で有名だった「メリケンお浜」、さらには外国人将校を対象にしていた売春婦「メリーさん」など。
そして、ここ大島には「おゆき」という、それはそれは大変美人で容姿端麗であり、気性のしっかりとした働き者がいたそうです。おゆきさんは、蓮生寺の下のサンベ(三兵衛)と呼ばれる家にいたそうです。
昼間は家事や畑仕事を手伝い、夜は商いをしていたが、その仕事ぶりは大変手際が良く、茶摘みなどもなかなか上手だったとのこと。んで、そんな彼女は串本では大変有名な串本節の歌詞にも載っているんですね!!
【串本節】
ここは串本 向かいは大島
仲をとりもつ 巡航船
    ・
    ・
大島水谷 かかりし船は
おゆき見たさに 潮がかり
    ・
全部載せると長くなるので、全ての歌詞はこちらを見ていただければと思いますが、歌詞の中の「おゆき見たさに・・」というおゆきが彼女のことになるわけです。
このおゆき、昭和39年には当時串本町公民館大島支館長であった沖清氏が、おゆきを観光ブームにのせようとしたこともあったそうです。そして、彼女はひとりではなく、初代、二代目、三代目と三人いたそうです。「おゆき」というのは、初代が大変人気者だったということで、その時に最も人気のある女に与えられる源氏名だとも言われていたそうですが、どうなんでしょうね?(笑)

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お墓と位牌を見せてもらった!

▲住職さんと、おゆきさんのお墓へ
お雪さんに関してはそのくらいにして、早速お墓を見に行くことに。ただし、おゆきさんにかんしては事前調査ではそこまで詳しく調べていなかったため、この時は蓮生寺がおゆきさんの菩提寺だったとは知らなかったんですよね。。
いや~交番が留守でお寺に来てよかったっすよ(*’▽’)
▲真ん中にあるのがおゆきさんのお墓
お寺には、おゆきさんのお墓を示す案内がないので、住職さんに案内していただかないとたどり着けないと思います。が、住職の方はとても親切な方で案内してくださいました。
お墓には「妙艶信女」という戒名が刻まれていましたが、このお墓は初代おゆきさんのお墓のようです。手前には新しいお花が添えてあったので、地元の方が今でも定期的に見守っているんでしょうね。
▲本堂にはおゆきさんの位牌が眠る
その後、本堂に移動して今度は位牌も見せていただけることに。今日は、住職さんの親戚の方が集まっていたのか、小さい子供たちが本堂で楽しそうに遊んでいました。今回の旅、結構タイトだし寒いし、全部車中泊だしってことで精神的にキツかったものの、ちょっと心が和んだ光景でした(*’▽’)
▲三代目おゆきさんの位牌
こちらがおゆきさんの位牌で、彼女が亡くなったのは明治34年4月24日。ただし、こちらは三代目おゆきさんの位牌になります。というのも、ここに書かれている名前が寺下雪枝だからです。ただし、この寺下雪枝は名字も名前も調べてみると本名ではないそうです。
というのも、位牌を見てもわかる通り雪枝は寺下家に養女として入籍しているためです。ただし、もともとの名字は不明。名前は、本名は「きぬ」なんだそうですが雪枝になっていますね。
逆側には戒名が刻まれています。ただし、ここで気になるのが左の位牌には「艶顔妙容信女」と書かれていますが、右側には「艶顔妙容大姉」と改められている
改めて書くと、三代目おゆきさんが亡くなったのは明治34年4月24日。大島に遊郭設置が許可されたのが明治39年なので、おゆきさんは吉原や島原で働く格式のある遊女ではなく、港の私娼窟で働く売春婦だったんですね。。
初めは、おゆきさんは大島遊郭で働く女郎の中の一人だと思ったんですが、大島遊郭が誕生したのは三代目お雪さんが亡くなった後。。まさか、私娼窟時代の売春婦だったとは。。

地元の古老の家を突撃訪問!

▲大島遊郭の場所と名前を教えてくれた古老
おゆきさんのお墓と位牌を見せていただいた後、住職さんがお寺の近くに住む古老の家へと案内してくれました。こちらの古老の方であれば、大島遊郭がどこにあったかわかるかもしれないという。
話を聞かせていただいただけでなく、奥さんがコーヒーまで出してくれました。とてもありがたいっす(*’▽’)
ただ、現在の古老のお父さんが遊郭が大好きだったとのこと。今では、大島よりも串本の方が栄えてはいるものの、明治から昭和初期にかけては大島に遊郭があたということで、それはそれは大島の方が大変賑わったという。賑わっただけでなく、風紀もかなり乱れていたそうです( ;∀;)
古老のお父さんは、遊郭に何度も足を運んでいただけでなく、博奕もたいそう好きだったとのこと。結婚式の日の夜には、早速遊郭に行って遊んだとか、
ここ大島は、遊郭があっただけでなく博奕も色々な場所で行われていたとのこと。先ほど訪れたおゆきさんの菩提寺である蓮生寺には、おそらく博奕などが行われていたのではとおもわれる、メインの階段では入れない謎の中二階が存在していると、住職さんもおっしゃっていました。
そして、最後に古老の方から遊郭の場所と名前を教えていただきました。
その配置図がこちら。遊郭というと、最初は点在していても後に風紀上の問題などで一角にまとまることが多いですが、大島遊郭の場合は遊郭が大島浦に点在していたようです。
ただし、この配置と名称は大島遊郭が誕生した際の配置とは異なっていると思います。遊郭が出来た時は魁楼(さきがけろう)という遊郭があったはずでもあるので。。地元の資料である『串本のあゆみ』には、「1925年に大島遊郭は全焼した」という記載もあるので、もしかしたら当時は一角に遊郭がまとまっていたのかもしれません。
その後、どういった経緯を経たのか不明ですが、最終的に上の地図の配置になったと思われ、大島遊郭は太平洋戦争の初めごろに客足が途絶え、わずか三十数年でその幕を閉じたそうです。

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現在の遊郭跡地へ!

古老と住職さんと別れた後、一応遊郭があった場所はどうなっているのかを訪問してみることにしました。
まず訪れたのは、こちら。今現在は大島保育所となっており、敷地内に入ることはできませんでしたが、ここに一力楼といさみ楼があったとのこと。遊郭だった場所が保育園になっているとはね( ;∀;)
ということで、ここに関しては全くの面影はなし。。
▲串本節の「佐吉」の建物があった場所
続いて訪れたのは、佐吉楼の跡。現在は民家になっていますが、この佐吉楼の「佐吉」の名は「障子あくれば 大島ひと目 なぜに佐吉は 山のかげ」というように串本節の歌詞にも出てくるということで、大島遊郭の中でも結構有名な妓楼だったんじゃないですかね。
ただし、串本節の中で出てくる「佐吉」は「佐吉楼」のことではありません。串本節が出来たのは、遊郭ができる明治39年以前であるためです。なので、佐吉楼のことではなくてもここに佐吉という船宿だったか家だったかがあり、その名が使われていたんだと思います。
事実、この場所はちょっとした山が背後にあることで、海から見ると串本節のように「山のかげ」になっているんですよね。
その他、朝日楼やさかえ楼があった場所にも行きましたが、今では新しい民家が建っていて、全くと言っていいほど遊郭があった痕跡は残っていませんでした。。
今回話をしてくれた古老のように、遊郭のことを記憶している方はかろうじているものの、その代の方々が亡くなってしまったら、ここ大島に遊郭があったという歴史は語り継がれなくなってしまうんですかね。。

おわりに

以上で、大島遊郭の調査は終了。平成最後の大晦日を、和歌山県串本町の遊郭調査に費やした私。資料も結構少なく、現地でもどれだけ情報を集められるかと思いましたが、現地の方からいろいろ話を聞くことができて大変有意義な調査になりました(*’▽’)
ただ、古老の方がおっしゃっていたのが「去年まで生きていた婆さんがいてね、その方は遊郭のことに詳しかったんだけどその方が亡くなったからね。遊郭について話せるのも私が最後の世代かもしれないよ。。」とのこと。
そんな方に会えて遊郭の話が出来ただけでも、なんか良かったと思った今回の取材でした。。

参考文献

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詳細・地図

住所 和歌山県東牟婁郡串本町大島
アクセス JR湯浅駅から徒歩10分ほど
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