人気ゲームにも登場する老舗旅館「三崎館本店」の歴史に迫る!

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藝者がいて賑やかだった三崎港

ページが変わりまして、まずは三崎港が大変賑やかで芸者がいた頃の話をしようと思います。

日々、芸者さんがいた大広間

三崎港に芸者さんがいた時代、前のページでも紹介したこちらの大広間を使ってマグロ漁師の人たちによって毎晩のように宴会が行われていたようです。

それは、三崎港はマグロ船の遠洋漁業の基地でもあることから、漁船の出港前や入港後のときですね。

ご主人さんの記憶では、三崎港が賑やかだったのは東京オリンピックである昭和39年のころ。というのも、その背景にはマグロの冷凍技術が確立されたのがその前年の1963年だったこともあったようで、そのころというと飲み屋が多かった日の出町は”眠らない街”とも言われていたそうです。

こんな小さな街でも映画館が三つあり、漁師さんは今のような銀行振り込みではなく現金払いだったこともあり、船から降りた船員たちがここからタクシーに乗って東京まで行くとか凄い金の使い方をしていたようです。あとは、飲み屋では営業終了後に床を掃除していると、椅子の隙間などからお金が見つかるなんてこともザラだった、とかね。

それだけ、三崎港には賑やかだった栄光の時代があったんですね!

引用元:三浦市明細地図(1966年)

ちなみに、花街に関する話をちょろっと書くと、三崎港には三崎館本店から日の出町を抜けた辺りに見番があったようです。それは地図でも記載されており、1966年の住宅地図を見ると上の地図の赤枠に「三崎見番」って書いてますよね!!

ここから、周辺の料亭に芸者さんが派遣されていたんでしょうね。

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神奈川県三浦郡全図(昭和8年)

今ではだいぶ料亭は減ってしまいましたが、見番があった頃の時代には温泉亭、さらに三崎館周辺には岬陽館、はつせ館などの割烹旅館がいくつもあったんですって。

この辺の旅館では岬陽館が一番古かったそうですが、この辺で旅館として残っているのは三崎館本館だけ。最近までは三崎館本店の裏に立花旅館という旅館もあったんですが、つい最近閉業してしまったようです。。

今でも座敷が残る『さくらや』

ついでに紹介すると、その他にも三崎港バス停近くにある「さくらや」さんにも、芸者さんが上がっていた座敷が残っているんですよね。

このお店は、今のご主人の祖父が1927(昭和2)年に開業。当初は二階建てでしたが、戦前辺りの頃に増築して三階建てになったそうです。木造三階建ては、現在の法律では新たに建てることができないため貴重ですよね。一階は食堂になっておりますが、二階と三階の座敷には芸者さんを上げての宴会が日々行われていたそうです。

前回三崎港を訪問した時はこの「さくらや」さんで昼食を頂いたんですが、その時にご主人さんに「町の歴史を調べ歩いている」という旨を伝えると、特別に二階の御座敷を見せていただけたんです~!

宴会が行われていた二階の御座敷

その御座敷がこちら!

天井が船底の形をしており、広さとしては14畳ほどですかね。宴会もそうですし、会社間での接待とかも行われていたんだろうな。

三崎館本店と同様に、芸者さんがいた御座敷が残っているのは「さくらや」くらいなんですかね~。

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三崎館を救った「鮪のかぶと焼き」

話がだいぶそれそうなので、三崎館本館に戻しますね(;’∀’)(;’∀’)

芸者もいて賑やかだった三崎港でしたが、笑えるほど賑やかだった時代はいつまでも続きませんでした。次第にマグロの漁獲量は減っていってしまい、今までのお客さんが見込めなくなってきたのです。

そうなると、今までのままではいけない。何か策を打ってお客さんを増やすべく、特徴的なことをする必要が出てきたんですね!

引用元:三崎館本店のパンフレット

そこで考えられたのが「マグロ料理専門のお店にしよう」ということ。昭和50年頃からマグロ料理に特化した店にし、その目玉として考えられたのが『鮪のかぶと焼き』だったのです!

今では三崎港では鮪のかぶと焼きを名物料理として出してはいますが、昭和50年頃の時代では、マグロの頭は内臓と一緒に捨てられていました。当時は食べる部位として認知されていませんでした。

とはいうものの、そんな捨てられていたマグロの頭は、実は船員さんたちの間では船のエンジンの煙突に吊るして蒸し焼きにして食べられていたのです。それを知った今のご主人さんのお父さんは、「これをお店で出せば流行るんじゃないか!」と考えたのです。

そこで、このマグロの頭を焼いた「鮪のかぶと焼き」のメニューを三崎港のいろんな店で出して観光客を呼び込もうとするも、町中の人からは「何で捨てるものをお客さんに出すんだ!失礼だろ!」と大反対。

しかし、ご主人のお父さんはここでへこたれることなく、マスコミに取材されればということで、かぶと焼きの写真をマスコミに送りまくる作戦を敢行することに。んで、そうしているとNHKが最初に取材をしてくれて「かぶと焼きを出すお店が三崎港にある!」と放送されたのです。

良い感じでかぶと焼きが認知されていくも、まだまだ宣伝作戦は止まりません!

さらには、そのNHKで放送された映像をダビングし、他のマスコミにもその映像を送る作戦を敢行。

そうしたところ、別のテレビでも報道され他所(よそ)の人が「三崎に”かぶと焼き”ってのがあるらしいぞ!」と、それなりに認知されるようになりました。もはやそうなると、当初は大反対していた周りの店も鮪のかぶと焼きを始めることに、というか始めざる得ない??、ことになり、三崎港に鮪のかぶと焼きが定着することになったそうです。

なるほどねー、三崎館は創業110年の老舗ではあるものの、やはり企業努力をしないと営業の存続は難しいんですね。

マグロ料理満載の夕食

マグロ料理に特化した旅館であることもあり、私が宿泊した時の夕食もマグロのいろんな部位によって作られたマグロ祭り状態の夕食を頂きました。

超絶品だったマグロの刺身

マグロ料理ということで、もちろん刺身は欠かせないっすね!

もうね、久々にこんなうまい刺身を食べましたよ。普段の夕食はコンビニのパスタとかカップ焼きそばが多い私ですからね。

久々の贅沢や~(*´▽`*)

こちらもマグロ料理

こちらもマグロ料理。左がマグロの角煮で、真ん中がマグロの卵の寄せ物だったかな。

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人気ゲームの舞台にも!

プレステ2のソフト『トロと休日』

あっ、そうそう、あと三崎館に関して一つ面白い話がありましてですね、このソフトってご存知です??

こちらはPlayStation2の人気ソフトでもある『トロと休日』。このゲーム、私は実際にプレイしたことがあるわけではないのですが、名前はよく聞くんですよね〜。内容は、Wikipediaからの抜粋で申し訳ないですが、以下です。

実写映像で再現された港町を舞台に、主人公のポケットピープル(ポケピ)「井上トロ」と、のんびり休日を過ごし旅の思い出を作る、というストーリー。ゲームシステムは初代同様「ポケピに単語を教え、コミュニケーションをとる」という人工無脳系ゲームであるが、本作では旅の思い出を「写真」「たからもの」として残すという機能が追加されている。

Wikipediaより

「実写映像で再現された港町を舞台に・・」という説明がありますが、この港町がどうやら三崎港みたいですね。そんで、三崎館もそのモデルの一つとしてゲームに登場するようです。

主人公が宿泊した『菊の間』

ゲームの中で、主人公のトロは私が宿泊した菊の間を利用したらしく、このゲームがきっかけで宿泊してきたお客さんは、必ずこの部屋を指定するんだそうです。

このゲームが販売されたのは2001年とのことで、今から20年近く前なんですってね。とはいうものの、ご主人さんがいうには現在でもこのゲームのファンの方が、ゲームと同じような休日の過ごし方をリアルで行うために訪れるという。

そうなんすね。映画やアニメの舞台になってそのファンが訪れるってのはよく耳にしますが、ゲームでもそういうことがあるんですね〜。

ロビーに目をやると、、、

お客さんが置いて行った人形

こんな光景も広がっているんすわ!!

老舗旅館にはちょっと似つかないインパクトある光景ではありますが、大量のトロの人形が置かれているではありませんか!

そんでこれ、何でロビーにこんだけのトロがいるのかというと、三崎館の方が置いたわけではなく、ここに宿泊してきた『トロと休日』のファンの方が記念にと置いて行ったそうです。

何だか、ほのぼのとする話ですね(*´▽`*)

台風災害やコロナ危機を乗り越えて

私が取材をしたのは、2020年6月20日でありコロナ騒動による緊急事態宣言が解除された間もない時期。

そのため、旅館によってはまだ宿泊客をとっていない時期でした。本日の宿泊客も私のみであり、本来はもう一組来る予定だったようですが、残念ながらキャンセルになってしまったそうです。。

コロナ騒動はいつ落ち着くのか・・

三崎館本店は先ほどの大広間があるということもあり、バスツアーなどの団体客の方々がお昼ご飯を食べに来ることが多いものの、コロナによって最近はキャンセル続きの状態。。まぁ仕方ないですよね。。

ニュースではコロナによって閉業してしまう旅館や飲食店の情報も流れていますし、本津に観光業の方々は大変な時だと思います。ご主人さんに聞くと、10月頃辺りからの予約がはぼちぼち入ってきているようであり、これからまた新型コロナウイルスの第二波が来るとも言われていますが、無事に乗り越えてほしいっすわ。。

そんなコロナウイルスももちろん強大な天敵ではあるんですが、港に位置する三崎館本店にとっては、それ以外にもいくらかの敵がございましてですね、、、

それは、「潮風」と「台風」。

台風や潮風も天敵

そう、三崎館本店は港に位置しているということで、潮風をモロに受けることから内陸部に比べて建物が傷みやすいそうです。さらには、台風の時も風の強さがマジで半端ないんですって。。そのため、台風が襲来するときには、宿泊客をお断りすることもあるそうです。

近年でいうと、2019年10月に襲来した台風19号(令和元年東日本台風)は多摩川が氾濫したりとかなり暴れまくった記憶があるわけですが、それによって私が宿泊した”菊の間”も結構なダメージを受けたとのこと。

古い建物を維持するのって大変ですよね、改修し続けないといけないし、金もかかるし、近年では昔の建物を修復できる大工さんも少なくなってきていますし。。

閉業している岬陽館

宿泊客に関しては、昔は漁業関係の方が多かったものの近年はマグロを食べに来る観光客の方が大半とのこと。

とはいうものの、時代が進むごとに客単価は減少しており、周辺の旅館も次々と閉業しているとのこと。。三崎館本店のすぐ近くにも、こんだけご立派な旅館「岬陽館」の建物は残っていますが、すでに閉業していたりね。。三崎館本店も、今はコロナウイルスで苦しいときでしょうが、踏ん張っていただきたい!

ここで夕飯食った

という感じで、ご主人さんからは一時間近くにわたって三崎館本店や三崎港に関する様々なお話聞かせていただけました。

話を聞かせていただいた後は、こちらのお部屋でテレビ見ながらマグロ料理を堪能して、あとは部屋で『世界ふしぎ発見!』を久々に見ながらブログを更新しておりました(笑)

おわりに

今回の取材は以上っす!

知の冒険を始めて以降、三崎港には(たぶん)三回目の訪問になりましたが、気になっていた三崎館に宿泊出来て良かった( ̄▽ ̄)

ご主人さんもすんごく親切な方で、三崎館の歴史に関して本当に丁寧に話していただき大変感謝でございます。

今度行くときは、先ほど書いた鮪のかぶと焼きを食いにいきたいんですよね〜。

ということで、以上、三崎館本館の取材訪問記でした〜。

参考文献

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詳細・地図

住所 神奈川県三浦市三崎5-2-9 
駐車場 無料
電話番号 046-881-2117
アクセス 三崎港バス停から徒歩1分ほど
リンク https://www.misakikan.com/

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