こんちわっす!
日本中の知られざるスポットを取材してブログ記事にしている『知の冒険』。メインテーマは博物館であるものの、日本中の老舗旅館に宿泊して記事にもしているわけですが、今回紹介するのは千葉県勝浦市にある『旅館 松の家』っす!
ここ、以前からずっと泊まりたかったんですが、なかなか勝浦を訪問する機会がなく、今回は念願の宿泊&取材となりました。
ここは建物が大変素晴らしく、最後のお会計の前には、八代目になる女将さんから色んな話を聞かせていただいたので、その辺の様子を以下で紹介しますね〜。
見出し
唐破風の屋根が実に素晴らしい!
今回訪問した勝浦は、千葉県の東京湾側ではなく太平洋側に位置する場所にあり、B級グルメである勝浦タンタン麺、あとは400年もの歴史がある勝浦朝市でも知られる場所っすね!
そんな場所に、創業150年を超える老舗旅館があるわけです!

はい、ド〜〜〜〜〜ン!!
いや〜マジで素晴らしい建物っすよね。今回はちょっと道が混んでいて、17:30と夕飯ギリギリの到着となってしまったので、着いた時には真っ暗になってました。。
この建物は江戸時代末期に竣工されたとのことですが、堂々たる存在感が半端ないっすわ!

そしてなんと言っても、この入り口の唐破風の屋根っすよね。この形に癒されますし、そして提灯も良い雰囲気を醸し出しております。こんな旅館に泊まれるなんて、マジで幸せっす!!

扉を開けると、まさに昔にタイムスリップしたような懐かしい雰囲気が広がっていました。やっぱり老舗旅館は良いよな〜、この雰囲気だけで日々のストレスが吹っ飛びますよ!!

この旅館には、センサーとかついてないので、用があれば鐘を鳴らす必要があります。こういうところ、いかにも昔の旅館って感じっすよね。

そんで、今回私が宿泊することになった部屋はこちら!
この部屋は、江戸時代末期に建てられた建物ではなく、奥の新館になるため建物の造りがどうこうって話は特にないですけどね。
職人さんのこだわりが詰まった名建築

ではでは、ここから『旅館 松の家』についていろいろ紹介していきたいんですが、まずは館内の素晴らしい造りからいきますか!
今回は、チェックアウトの直前に女将さんから話を聞かせていただけることになりました。宿に到着した日は夜遅かったということもあり、到着したあとは、すぐに風呂入って夕飯食ってという感じでバタバタしてましてね。。
んで、翌朝になって女将さんも手が空いてるとのことで、いろいろ話を聞かせていただけることになりました~!
木目にこだわりがある格天井

まず、女将さんに説明いただいたのが玄関。
「玄関の天井を見てみてください!この天井は欅(ケヤキ)で出来てるんですけどね、わざと一枚板にしてないんですよ。縦、横、縦、横、市松模様になってますから見てみてください!」
とのことで、天井を見てみると、、

あ〜なるほど。
このような素晴らしい格天井となっているわけですが、見て分かりますかね。あえて木目が縦横交互になるように造られているんですよね!!
これは言われないと気づかないっすわ。こういうこだわりがあるからこそ、老舗旅館は見ていて楽しいわけですヨ!


さらに、入り口の扉の上部には青色の色ガラスが使われており、その両側には江戸切子を取り込んだガラスですよ。時代を感じる風景ですが、中央に非常口のマークがあるは仕方ない。。( ;∀;)
お洒落なブルーっすな〜〜!


床に至っては、六角形のタイルが敷き詰められており、、

下駄箱だって昔からずっと使われているんですね。昔のものは素材もいいので、物持ちもいいんですよね。
かつては、藝者をあげての宴会も!
そんな勝浦には、かつては藝者さんもいたそうです。女将さんも藝者さんがいた頃を記憶しているようで、やはり漁港で栄えていたこともあって、昔はこの辺りにも置屋があって、それはそれは賑やかだったそうですよ。

昔は藝者さんをあげて宴会もしていたからか、玄関には今ではかなり貴重な木札形式の料理店鑑札もありました。


二階には藝者さんをあげて宴会が行われていた部屋もあるとのことで、ちょっと上ってみることに!

二階には部屋が二つあるようです。床や部屋の畳など所々に改修を加えてはいますが、その他の部分は当時のままということで、ちょっと隅々まで観察してみることに!!

二階に上がったとき、女将さんからも「ぜひ、見てほしい!」と言われたのが、こちらの一本杉!
廊下の端から端まで、途切れることなく一本の木が使われているわけです。昔の建物だとよく見はするものの、どうやってこんな長い木を運んできたのだろうか。。

そして二階の二部屋のうち、一つがこちら!
「勝浦も藝者さんはたくさんいらっしゃいましたよ。私は花柳流ですけど、日舞も藝者さんに教えてもらいました。ここから一本奥に入った通りには置屋もたくさんありましてね。」
と、女将さんがおっしゃってましたが、この部屋にも藝者さんが来て宴会が行われていたみたいです。
勝浦に関しては、藝者に関する調査はできてないものの、昔は私娼窟があったり、戦後は赤線もあったりとそういった歴史は結構前に調査したので、以下に記事を貼っておきますね!

そして、この部屋の床の間はこんな感じになっているんですが、丸窓がとにかく素晴らしいっす。



ちなみにですけど、和風の旅館の窓際にあるこの空間は広縁(こうえん)というらしいですね。
部屋の広がりを感じさせるなどの意図があるようですが、こんな名前がついてるとは知らんかった。。大抵の場合、テーブルと椅子が置かれてますが、一度も活用したことはないっすね。。

部屋の片付けの最中、お邪魔させていただきました
ちなみに、今の松の家には、勝浦朝市、あとは鴨川シーワールドなどを訪れる家族連れが利用することが多いとのこと。そして、ここでもやっぱり聞くのは「若い人が古い部屋に泊まりたいという声が多いんですよ」ということ。
これはSNSとかの効果なんですかね?
こっちの江戸時代末期の建物の方は、部屋にトイレと洗面所がついてないこともあり、そういうのが嫌な方は「新館の部屋がいいっす!」という方もいるみたいですけどね!


そして、この建物で女将さんが見てほしいとおっしゃってたのがこちらにもあります。それが、この床の間にある欅(ケヤキ)の一枚板。
二階の部屋の床の間に数枚あるんですが、この一枚板は、建物の素材の中でも一番高価とのこと。ん〜確か、奈良県にある遊廓建築の町家物語館(旧川本楼)でもそういった話を聞きましたが、この板は相当高価なんでしょうね。



ちなみに、別の部屋にはこんな丸窓もありました!
名女優・山口百恵もやってきた
二階を一通り紹介したところで、再び一階へと下りてきました!
玄関以外にも、受付回りに見所がたくさんあるので紹介していきますね!

まずは、入り口入って左側にあるこの辺を・・

ここには電話ボックスがあります。今でも、古い旅館などでは時折見かけますが、ここにもありましたか!!
ちょっと中を覗いてみると、、、

懐かしのピンク電話がお出迎え。今でも現役ということで、10円を入れてダイヤルを回せば電話できるみたいです。
そして、昔の松の家は、電話番号は”47″だったみたいですね。

続いては、受付を見てみることにしますか!
いろいろ物が置かれてますけども、一つ一つ見てみると現代っぽいものはなく、大抵が昭和とかその辺りに使われていた物が多いので、見ているだけで懐かしくて楽しいんですよ!

この左の模様は、麻の葉紋様っぽいけどちょっと違うか??

さらに、このすんげぇレトロな掛け時計があるんですが、よく壊れるとのことで女将さんが直してくれました!
「この時計、SEIKOSYAって書かれてるでしょ。今はSEIKOになってて、SEIKOSYAって会社はないですから。それでこの時計ね、古くなると進んじゃうんです、ちょっと待ってくださいね!」

という感じで、女将さんの手によって再び正しく時を刻みだしました!

黒電話もありますが、これも今の子供達が見たらビックリするやつですよね。。34歳の私は、実家の電話はこれでしたからダイヤル回して電話かけてましたよ。
今の子供達は、ダイヤルの回し方わかんないっすからね。電話は私としては一番ジェネレーションギャップを感じるアイテムっすね。

ちなみに、そろばんもありました。計算アイテムとしてはすっかり過去のものとなってますが、今は脳の活性化とかで再注目されてたりするんですよね〜。
千葉県には「白井そろばん博物館」というそろばんに特化した博物館があるので、気になった方は以前の記事を見ていただけると嬉しいっす( ̄▽ ̄)

受付には二枚の色紙が飾られていて、こちらは、あの伝説の名女優・山口百恵さんによるもの。
『赤い衝撃』とは、Wikipediaによると1976年11月5日から1977年5月27日に放送されたテレビドラマで、山口百恵初めての主演作品とのこと。撮影時にはマジで多くの方が押し寄せて賑やかだったそうですよ。
というように、この建物は撮影として使用されることも多いとのこと!

あともう一枚は、実家が海苔問屋であることでもお馴染みの出川哲郎さん。
女将さんは「ヤバいよって書かないでよ!」と言ったものの、出川さんは「女将さん、これは自分のウリだから書かないと!」ということで、結局書いたみたっすね!
出川さんも、こういう古い旅館が好きみたいですよ!

さらには、こうしたかなり古いテレビがさりげなく置いてあったり、、





ちなみに、夕飯は魚介類中心で大変ボリューミー。マジで、文句ないしの正しい夕飯っす。しかも、値段は1泊2食付きで10,000円くらいなんですよ。
大変リーズナブル!!

その中でも、やっぱり刺身は最高でした!!
一人分でもかなりの量がありますよね。食ってる時は、マジで至福のひとときでした( ̄▽ ̄)
創業時の歴史は不明・・
と言う感じで、館内を一通り紹介させていただきました!
続いて、女将さんにこの旅館の歴史を尋ねましたが、松の家は江戸時代末期創業というのはわかっているものの、特に創業時の頃の話は記録もなく不明なんだそうです。
「引田というところにあるお家のお嬢さんが明治時代にここにお嫁に来たって話は聞いてるんですよ。そのお家は、議員さんをやってるとこだったようでして。そこまではわかってるんですけどね、江戸時代の頃の話はわからないんです。。」
今の女将さんは八代目。
創業してから150年以上もの歴史を刻んできたわけですが、記録には残ってなくとも、今まで多くの宿泊客が泊まりに来ていて、様々な人間模様があって歴史を刻んできていることには間違いない。

勝浦で100年以上もの歴史を刻んできたわけですが、昔は旅館の前の通りが本通りだったそうです。400年続く朝市は、今は別の場所で催されていますが、昔は目の前の通りで開かれていたそうです。
しかし、車が通るようになったことから開催する場所を移したんですね。その辺の歴史は、以前にブログにまとめているので、以下の記事をぜひご参照していただければと思いますm(_ _)m
おわりに
はい、以上になります!
しかし、建物も料理も本当に素晴らしく、そして何より女将さんが本当にフレンドリーで話しやすかったのが、とても印象的でした!!
値段もリーズナブルですし、建物が好きな方、あとは勝浦周辺の観光に来た際にはぜひ宿泊してみてくださいね!!
ではでは〜〜
参考文献
詳細・地図
住所 | 千葉県勝浦市勝浦30 |
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駐車場 | 無料 |
電話番号 | 0470-73-0047 |
アクセス | JR勝浦駅から徒歩で10分くらい |
リンク | http://katsuura-matsunoya.com/ |