こんちわっす!
日本中の知られざるスポットを取材してブログにしている『知の冒険』。博物館の取材をしつつ、老舗旅館にも泊まりに行くという生活をひたすらしているわけなんですが、今回のターゲットは、福島県田村郡にある「ぬる湯旅館」っす。
“ぬる湯”という名称が、やけにキニナルというかインパクトある屋号っすよね!
そのぬる湯旅館は、明治時代創業という老舗旅館であり、建物も古くアットホームな旅館だったということで今回記事にしてみました!
ということで、その旅館の館内だったり、あとはぬる湯温泉のちょっとした歴史も踏まえて以下で紹介していきますね〜( ̄▽ ̄)
“ぬる湯”の屋号が気になって訪問!
ということで、今回は福島県の田村郡へとやって参りました。田村郡というとあまり聞き馴染みがないかもしれないですが、郡山市から少し東に行った場所ですかね。
今回は郡山市と白河市にある博物館をいくつか巡ることを目的に福島県へとやってきたわけですが、せっかく福島県まで来たので、いつものように「老舗旅館あるかな〜?」と思って探して発見したのが、ぬる湯旅館だったというわけです!
その、ぬる湯旅館の建物がこちら!!
いや〜相変わらず老舗旅館はいいっすね。毎度毎度老舗旅館に泊まりまくっている私ですが、毎回建物を見るたびにテンションバク上がり状態で、この趣味は本当に飽きることなく堪能させいただいておりますよ。
先ほどの建物は昭和初期に建てられたようなのですが、そのお隣に併設されているこちらのレンガ造りの建物はお風呂棟になります。お風呂の建物が煉瓦造りって今まで見たことないかもしれないですが、粋な発想ですよね〜。
こちらは裏側だったからなのか、今は使われてない入り口??
外観の中で一番気になったというか琴線に触れたのが、この欄干に彫られた「ユルヌ」の文字。カタカナであり、しかも左からではなく右からというのが戦前に建てられたことを示す根拠の一つでもありますね!
宿泊客の入り口はこちら!
こっちの建物は増築された新しい部分になりますが、宿泊客は基本的にこっちから入って新館の部屋に泊まる感じになります。
今回私が宿泊したのは、新館の一室。
そして部屋に入ると、懐中電灯を渡してくれました。
というのも、今回訪問したのは2022年3月20日でしたが、訪問の四日前には震度6を観測した福島県沖地震が発生しましてですね。
私が訪問した日もまだ余震が頻発していることから、宿泊客の方には懐中電灯を渡しているそうです。また大きな地震来るかもしれないし、停電になった時は存分に威力を発揮してくれるでしょう!
キニナル”ぬる湯”の由来とは?
宿にチェックインした際、少し時間があったのでお母さんに少しばかり旧館を案内していただきました!!
最近は、「どうしても旧館に泊まりたいのですが・・」という方が多いようですが、私が訪問したような寒い時期は旧館に泊めるのは遠慮しているとのこと。
ただ、部屋はいつでも泊まれるようにしているということです。上の写真でいうと、左の扉が旧館の部屋ですね。右は物置になっているとのこと。。
ちょっと覗かせていただくと、旧館の部屋はこんな感じ。新館はエアコンがありましたがこちらはコタツ。でも、なんか昔のおばあちゃん家の部屋みたいで、懐かしさがありますな。
そんな、ぬる湯旅館の創業は明治42年。
この”ぬる湯”の屋号が気になるところですが、これは同じ福島県の福島市にある微温湯温泉に由縁があるそうです。
こちらの微温湯(ぬるゆ)温泉は、開湯300年というめっちゃ歴史ある温泉地らしいのですが、ここは源泉の温度が33℃ほどということで、こちらはガチでぬるいお湯みたいなんですね!
今では「旅館 二階堂」という老舗旅館が一軒だけ営業しているようです。ここも江戸時代から続く老舗旅館ということで、機会あったら宿泊してみたいんですよね〜〜♨︎♨︎
今回宿泊した「ぬる湯旅館」は、その微温湯温泉の湯の花を運んで温泉にしていたことから「ぬる湯」という名称を使っているんだそうです。
なるほどね~~
そのぬる湯旅館の見所のひとつが、こちらの煉瓦造りの建物っすかね。昭和二年に建て替えられたもので、出来た頃は町で一番モダンな建物だったそうです!
あとは、ぬる湯旅館の近くに「やわらぎの湯」という温泉があるんですが、こちらは療養者や湯治にやってくるラジウム温泉とのことで、病気を治す目的のお客さんが大変多い温泉みたいなんですね。
マスコミでも取り上げられるほか、いかりや長介もガンを治すために通っていたとかとか。
あとは、この近くに医学療法士の研修を行なっている施設(三春南東北リハビリテーション・センターのことですかね?)があるとのことで、そこの研修を受ける方が研修期間中の宿として泊まりに来るなんて話も聞かせていただきました。
鉄分豊富な湯船に浸かる
旅館の由来について紹介したところで、少し部屋で休んだ後に、温泉に身を投じることにします。
ぬる湯旅館では、旅館をしている一方、温泉に関しては銭湯という形で営業しているんですね。銭湯の定休日は日曜。
その定休日に宿泊したというのと、宿泊客は私だけということもあり、お風呂場は貸し切りということで一人湯船を堪能させていただけました!
入り口上部には、”薬湯”の文字が!!
ちなみに、宿泊ではなく銭湯としてやってくる場合の入り口はこちらになります!
レンガの上に”♨︎ぬる湯”と書かれている光景が、実に美しい。
浴場には、レトロ好きにはたまらないタイルが敷き詰められております。壁面や浴槽にあるタイルは昔からのままとのことですが、床のタイルにおいては近年に改修して貼り替えたそうです。
先ほども書いたかもですが、屋号は”ぬる湯”となってますが、お湯は熱めです。と言っても、湧いた温泉を材木を燃料にして加温してるからなんですけどね。
昔は食事を提供しつつ、温泉にも長く浸かるような感じで一日中ここでゆっくりするようなスタイルの営業をしていたものの、今ではそういうお客さんも少なくなってきたので、サッと入るような今の銭湯の形式にしていると女将さんがおっしゃってましたな~。
私は川崎住まいということで、福島県へはポンコツ軽自動車を使うと6時間くらいかかったわけですが、いや〜マジで疲れましたよ!
最近までは神奈川から近い距離の場所、遠くても茨城、栃木、長野、静岡辺りまでが多かったですが、その辺の博物館も行きたい場所はある程度行きまくったということで、これからはもう少し距離を延ばしていかないといけないんですよね( ;∀;)
いや〜、博物館マニアは本当に大変ですよ。。まぁ、自分で好きで巡っているので、誰かに強制されているわけでもないんですけどね・・( ̄∀ ̄)
東京から疎開児童がやってきた!
あと、女将さんからぬる湯旅館にまつわるエピソードを一つ教えていただいたので紹介したいと思います!
そのエピソードにまつわる名残が、旧館に残っているんですって!
こちらは先ほど紹介した旧館の通路ですが、昔は大広間だったそうで、藝者さんをあげて賑わっていたそうですわ!
「古いって言っても恥ずかしくてね、壊すか壊さないかの瀬戸際になってるから。。」
古い建物が好きという話を出すと、そういった感じの反応をする女将さん。そんななか、、
「それとね、昔は東京の日暮里の方から疎開児童がやってきたの。」
そう、この旅館には、太平洋戦争が勃発していた時期に、東京の方から疎開児童を受け入れていたんですって!
「ここに名前が残っていてね。」ということで見てみると、確かに残ってますね。ここには疎開にきた子たちの防災頭巾をかけていたみたいです。
今から80年近く前のことですが、それがこうして今も生々しく残っているというのに、時代を感じますわ。。
疎開してから年月が経ったあと、その方々が70歳になった頃までは、昔疎開してきたことを懐かしく思ってここにやってくる方もいたそうです。
この疎開の話は知の冒険で取材を行なっているときにもよく出てくるテーマなんですよね。以前、横浜の花街跡を取材していたとき、とあるおばあちゃんから昔話を聞いていたときに、「この辺は空襲の危険があるから、縁故疎開していて一時期離れていたの」とおっしゃってたりとかもしたんですよね。
疎開にも、親戚筋の家に疎開する縁故疎開と、そういう親戚筋がいなかった方々が皆で疎開する集団疎開などがあるようですね。
太平洋戦争の当時、疎開児童たちは1〜2年ほど泊まり続けていたようで、宴会場で皆で雑魚寝していたんですって!
疎開児童というと、静岡の熱海温泉にある「龍宮閣」でも東京の大森の方からの児童を受け入れていたという話を聞きましたな〜。
ちなみに、今回私は一泊二食付きにしたのですが、お値段はまさかの6,600円。
安すぎて大丈夫なのかと心配になる値段でしたが、夕飯は十分お腹いっぱいになる美味しいご飯でしたし、女将さんも親切でアットホームな雰囲気だったので、福島の真ん中らへんに来た際には、ぜひ、ぬる湯旅館に宿泊してみてはいかがでしょうか??
ご飯は、老舗旅館でお馴染みのこの容器で出てきます。お茶碗四杯分くらいかな?
おわりに
はい、以上になります!
建物も古くて素晴らしく、温泉もいいですし、値段もリーズナブルで文句なしの旅館でした。
東北はまだまだ行きたい博物館や老舗旅館がたくさんあるので、これから訪問する回数は増えてくるとは思うんですが、いかんせん神奈川からだと遠いのがネックですが、そこは気合で乗り切ろうかと思います( ;∀;)
ではでは、また次の記事でお会いしましょ〜
参考文献
詳細・地図
住所 | 福島県田村郡三春町字八幡町55 |
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駐車場 | 無料 |
電話番号 | 0247-62-2230 |
アクセス | JR三春駅から徒歩で25分くらい |
リンク | https://nuruyu.jp/ |