つげ義春ゆかりの穴場旅館「山光荘」に癒された!

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ういっす!

今回は、老舗ってまではいかないまでも、渋くて歴史ある旅館の紹介になります!

それが、静岡県松崎町にある「山光荘」っす。有名な旅館ではないかもしれないですが、ここは建物自体が大変古くて味があるというだけでなく、漫画家のつげ義春さんなど多くの有名人が宿泊した知られざる名旅館なんすよ!

今回は、伊豆で有名な入江長八の彫刻が残る『長八の間』という、つげさんも宿泊した部屋に泊まってきたので、歴史とか宿泊の様子とかを以下で紹介したいと思います( `ー´)ノ

本記事のポイント

・元々は造り酒屋だった建物を55年前に旅館に
・つげ義春さんゆかりの宿としても知られている
・多くの有名人が来た他、映画の撮影にも使われている

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花とロマンの里に佇む穴場旅館

今回紹介する「山光荘」という旅館は、静岡県賀茂郡松崎町という場所にあるんですけども、松崎町ってあんまりピンとこない方が多いかもしれないっすね!

位置的には、伊豆半島の西側になります。ここは鉄道が通っていないということもあり、東京方面からのアクセスがいいとはいえない場所。。

でも、海もあり山もありの場所で自然豊かですし、静かな場所でゆっくりするにはいい場所だと思うんですよね。

昔は養蚕、あるいは自生のオオシマザクラを使った薪炭で栄え、それにより、金を持った人がなまこ壁という耐火性の強い住まいを建てたことで、なまこ壁がやたらと見られる場所としても知られていたりするんですな!

なまこ壁が目立つ山光荘

そんな松崎町にあるのが、こちらの山光荘。

「なまこ壁通り」という通りに位置しているこの旅館は、場所的にもとても静かで、建物も古くて風情があることから、都会の嫌なことを忘れてゆったりできる、そんな旅館になります!

建物の外観からすると、旅館というよりかは、おばあちゃん家みたい!!

おばあちゃん家みたいな雰囲気

中はこんな感じっす!

まさに昭和にタイムスリップしたような、そしてとても落ち着く雰囲気。今日の宿泊者は、私ともう一名の二名だけで、「お風呂もいつでも自由に入ってくださいね~」と言っていただけました。

宿泊者がたくさんいるとなんか落ち着くないですが、二名だけだとゆっくり出来そうっすわ(*´▽`*)

そんで、今回は宿泊しただけでなく、いつものように女将さんにこの旅館の背景だったり、あとはつげ義春さんと関りをもつようになった背景とかその辺を聞かせていただきました。

では、まずはこの「山光荘」の背景からいきますか!

十勝を開拓した依田勉三の直系

帯広のヒーローである依田勉三

松崎町を訪れると、郷土ゆかりの人物として「依田勉三(よだ・べんぞう)」という方が取り上げられます。

このお方、全国的にどのくらい知名度があるのかはわかりませんが(私は今回松崎町を初めて訪問して知りましたww)、松崎町でいろいろ歴史を調べると、かなりの確率でこの方を知ることになるんですわ!

そして、この依田家が山光荘と関係があるんですよ!

甲州武田氏に由縁がある依田家は、江戸時代になると松崎町で隠居生活を送っており、依田家の兄が製糸業に目をつけて製糸工場を建設するなど様々な事業を興していく反面、弟の勉三は北海道の十勝へと開拓に向かいます。

十勝で行われてる事業だったり、あとは十勝名物の豚丼などその辺は依田勉三による開拓が元となっているんですよね!

現在一般開放されている旧依田家

その依田家の建物は、現在は一般公開されていて無料で見学することが出来ます。とにかく大きな建物で蔵もあり、依田家の歴史も置く展示してある施設となっております。

館内で見られる依田家の家紋

んで、その依田家だった方が、今の山光荘の場所で造り酒屋を始めることになりました。それにより山光荘の建物が建てられることになるのです。

その歴史がわかるように、今でも山光荘では依田家の家紋がこうして残されているのです!

当初は造り酒屋だった

そう、旅館である山光荘の前身は造り酒屋だったんですね~~

経営破綻した大沢温泉ホテル「依田之庄」

で、造り酒屋が閉業した後、今の女将さんがその建物を旅館にしたわけですが、それにも依田家の建物が大きく影響してるんですね!

さっき紹介した旧依田家は、数年前までは大沢温泉ホテル「依田之庄」というデッカイホテルを営業していたそうです。とはいうものの、バブルを過ぎるとお客さんが減ってしまい、7~8年前に経営破産していたのです。。

ということで、女将さんが山光荘を始めようとしたときは、その大沢温泉ホテルの姿を見て、自分も宿泊施設をやってみようということで、55年前に「山光荘」を始めたんだそうです。

なるほどね~~

「明治商家 中瀬邸」も依田家が元なんすよ

ちなみに、松崎町には「明治商家 中瀬邸」という建物がありココも館内を一般開放してるのですが、じつはここも依田家の方が商売をするために建てたんですって!

松崎町には、こうして依田家が大きく関わっているんですね~

つげ義春さんが、まさかの宿泊

そんな感じで55年ほど前から始めた旅館業。女将さんは、旅館運営に関しては初心者だったこともあり、お客さんをどう呼んでいいかわかんない状態。。泊まりに来るお客さんの多くは海水浴客として訪れるような観光客でした。

お客さんを呼ぶには、とにかく苦労していたようです。

そんなとき、旅館を開業してから一年ほどが経った頃、ふと泊まりに来たのが漫画家のつげ義春さんでした。

長八の間に宿泊したつげさん

でも、女将さんはその人がつげさんだとは思わなかったそうです(もしくは、まだつげさんのことを知らなかった?)。

ロビーには、今もつげさんが宿泊した当時の写真が残されています。

長八の間に宿泊したつげさんですが、有名漫画家の人とは知らなかったことで女将さんもいつものお客さんのように対応して、特にサインやらを求めることもせずにお帰りになったそうです。

ところがです、それからいくらか時が経った後のこと、1964年から2002年頃まで刊行されていた漫画雑誌である『GARO』に、山光荘がモデルとなった話が掲載されることになります。

それがこれ!!

この話を書いたのは、つげ義春さん。

んで、そのことがGAROを読んだ人から広まっていき、しまいには女将さんの耳にも届くようになったんですって!

それを知って初めて、女将さんは「以前あの時に泊まった方が、この漫画家のつげさんだったのか!」と知ったわけです!!

ヘぇ〜面白い話っすね。しばらく経って、こんな形で知ることになるとはなんとも運命的なものを感じますわ。

そして、漫画を読んでその題材になった場所が「山光荘」とわかるやいなや、それから多くのつげさんファンが宿泊しにきてくれたようです。

恐るべし、つげ義春効果!!

とはいえ、そもそもつげさんはどうやってここの宿の存在を知ったんでしょうね?

彼は旅行好きでいろんな宿に泊まっていたようですが、いわゆる有名だったり大きな旅館やホテルには泊まらないそうです。名もなき、知られざる旅館とかが好きなんですって!

お礼をしに、つげさん宅へ出陣!

ファンが多く訪れたことで、経営的にも結構助かったと女将さん。

それゆえ、あるときにつげさんにお礼を言いに行こうと、彼が当時住んでいた調布の団地へと出陣しに行ったんだそうです。

山光荘の救世主となったつげさん

でも、つげさんは人嫌いだったみたいですww

しかも、最初は「怒りにきた」と思ったようで、女将さんを招き入れるのを最初は渋ったようですが、わざわざお礼に来たということがわかるとお部屋へ招き入れてくれたとのこと。

その後も、女将さんは再度つげさんのもとを訪ね、その縁を大事にということで、それ依頼、お互いに年賀状のやりとりをすることになったんですって!

つげさんから送られてきた年賀状

今でもそのやり取りは続いており、今までやりとりした年賀状は館内にこうして展示されています。

ということで、つげさんが山光荘に宿泊したのはたったの一泊だけ。

でも、そこから漫画の舞台として登場したことを機にファンが押し寄せ、その後にこうして本人と年賀状のやりとりをするまでになるとは、本当に世の中何が起こるかわかんないっすね!

多くの有名人が泊まりに来た!

多くの著名人のサインが並ぶ

そんなつげ義春さんゆかりの宿として知られる山光荘ではありますが、それだけにとどまらず、ここは多くの有名人が泊まりに来たり、いろんな撮影にも使われているんですよ!

横溝正史シリーズ、『悪魔が来たりて笛を吹く』に長八の間が撮影に使われたり(その時は古谷一行さんが主演)、あとは人気絶頂だった頃に田原俊彦が泊まりに来た時なんかは、田原が泊まりに来た情報が周辺に伝わり、玄関の門を閉めてもファンが門を乗り越えて入って来るなんてこともあったようです。

畑中純さんの版画

お客さんをどう呼んでいいかわかんない状態で始めた旅館だったものの、つげさんのおかげからか、NHKに連載を持っていた漫画家の畑中純さん、さらには朝日新聞に連載をもっていた林静一という漫画家も十日くらい滞在。

さらには松山ケンイチ、料理研究家の服部幸應さん、渡辺美佐子、大坂志郎、浜美枝などなど、多くの有名人の方が撮影などでやって来たんだそうです。

すげぇな~~、そんなにたくさんの有名人が訪れていたとは!

ということで、山光荘の歴史を簡単に紹介しましたので、一旦ここでページを区切ることにしますか!。

次のページでは、館内で見つけたレトロなものとか、私が宿泊した様子などを紹介していこうかと思います!

続きはこちら!超レトロな電話機があった!
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